佐々木 剛志

『特定の条件下における色彩意識の変容』

key word: 調和 不調和 色彩意識


【問題】


 我々が生活している上で、視覚において物の形と色彩と言うものは必ず目に入ってくる。色彩は我々の心身に様々な効果を及ぼしている。その一つは知覚に及ぼす効果であり、もう一つは感情に及ぼす効果である。特に後者を「色彩の感情効果」、または「色彩意識」という。色彩意識には、「評価性」、「活動性」、「潜在性」、という三つの因子が存在している。

 しかし、我々の視野には色がただ一色で映ることは少なく大抵の場合は何種類かの色の組み合わせである。色の組み合わせ、つまり配色によってその色が持つ感情効果というのは変わって行く。

 本研究では、ムーンスペンサーの色彩調和論に沿って配色し、調和時、不調和時の感情効果すなわち色彩意識の変容の違いを見ることを目的とする。


【方法】


 実験期間: 1999年 10月13日〜10月15日

 被験者: 大学生20名(男10名、女10名)

 色彩選択材料としてマンセル表色系の各色相を2つに分けたものを用意する。色彩意識の測定用紙として各因子を4つにわけ、12種類の色彩意識とする。各因子は、美しい−汚い 好きな−嫌いな 上品な−下品な 自然な−不自然な を評価性因子とし、活動性因子として、暖かい−冷たい 明るい−くらい 安定−不安定 動的−静的、 潜在性因子として、強い−弱い あっさり−くどい 男性的−女性的 かたい−やわらかい とした。それを7つの尺度に表した。例えば、美しい−汚いでは、美しいを7とし、汚いを1とした。因子は挙げた順に1〜12とした。

 手続き: 嗜好色を選択してもらい、その色についてイメージを測定する。その後、色彩調和論に沿って、同一の調和・第一不明瞭の不調和・類似の調和・第2不明瞭の不調和・対比の調和・眩輝の不調和を大(4cm×4)・小(3cm×3)の色彩チップを使用して配色する。その各条件でイメージを測定する。嫌悪色も同様に測定していく。


【結果】


 嗜好色と嫌悪色で、t検定を行ったところ全ての条件間で有意差が見られた(5%水準)。嗜好色を単色を基準としてt検定したところ5%水準で有意差が見られなかったのは、単色と同一のみだった。嫌悪色では、有意差が見られたのは無かった。また、男女差を各条件でt検定を5%水準で行ったところ、嗜好色では有意差が見られたのは、対比間と眩輝間だった。嫌悪色では、単色間と同一間、眩輝間だった。表1は、全体の平均値である。


【考察】


 嗜好色は配色状態においては配色された色彩のイメージを受けやすいが、反対に嫌悪職は配色状態においてもイメージが変わりにくいということがわかった。

 また、配色される色彩が基準となる色彩から色相面で離れるにつれて配色状態に置いてのイメージは調和・不調和に関わらず、悪くなっていった。


【参考文献】


千々岩 英彰  1983年 色彩学 福村出版

千々岩 英彰  1983年 デザイナーの為の色彩計画ハンドブック 視覚デザイン研究所