大学院を志望される方に

中 濟 光 昭(なかすみ みつあき)
職位 教授
 
《担当科目》 修士/博士課程 情報システム論(演習・講義)



1. このページの目的

大学院とは、研究を行なう場です。

このような自明のことを書かなければならないほど、大学院の大衆化が進んできました。
そこで、ここでは、大学院って何か?を確認し、皆さんから多く寄せられる疑問について簡単に説明し、
大学院進学について考えるべきことのヒントを示したいと思います。

2.大学院とは

大学院で行なうことは、自分の問題意識、それに対する改善案などを発表し、議論することを通じて、

です。 こういう能力を俗に「創造力」といいます。

創造力とは、単なる思い付きや奇をてらったものではなく、
ものごとの根底にある原理を仮定し、それを実証し、その上に新しいものをつくる能力です。

創造力を効果的に鍛えるためには、自分に合った研究室(教員)を選ぶことが重要です。
未知なるものの創造では、教員であっても、それがいいか判断がつかないことが多いのです。
教員はわからないなりに、今まで培った科学的手法により評価を試みます。
さらに、お互い議論しあい、もっとも良さそうな仮説を採用し、そのよさを実証するのです。

このように、研究では教員とマンツーマンで議論することが多いので、教員との相性はとても大事です。
ウマが合わないとこの議論はつらいものになります。指導を希望する教員と入試で初めて会う なんてことは問題外の愚かな行為です。
入試前に面会し、“どうしても合いそうにない”と感じれば、やめておいたほうが無難です。
必ずしもぴったり“合う”必要はないですが、生理的に受け付けないというように感じた場合は要再考です。

こんなことを書かなければならないのも、指導を希望する教員にまったく会わずに入試を受ける学生が増えているからです。
この場合、ウマが合わずに中退する学生もみられます。

就職についてもよく考えておいてください。理系の場合は、技術者としての就職の道が開かれていますが、
文系の場合、大学院進学は進路を狭める危険があります。
かつて大学院の定員が少なかった時代は、大学院を出ると研究者になる確率が高かったのですが、
現在のように研究者の需要を上回る大学院修了者を生む時代では、大学院に入ること=大学教員への就職とはならないのです。
最近は、大学院を評価し、院卒を積極的に採用しようという企業も出てきましたが、少数です。
研究者や税理士など、院を出たほうが有利な場合以外は、リスクが高いことを自覚してください。
そして、自分の能力を客観的に判断し、大学院に進学すべきか、を考えてください。
 

3. 研究テーマ

研究業績にあるように、私の研究テーマは工学的なものです。
したがって、インターネットやコンピュータについて、その経済的な性質を技術面から検討するといったテーマを持つ学生を期待しています。
もちろん、もっと技術的なテーマ、たとえばシステム設計や情報科学などを指導することにも興味があります。
これらについて経営的な観点からアプローチするのもおもしろいですね。
実習環境として、ERPソフトのパイオニアである独SAP社のソフトウエアSAP ERPを用意していますので、
企業の基幹業務(財務・会計、生産、販売、調達、在庫、人事)などを統合した情報システムに関する実習が可能です。
社会人の方には、TV会議を利用した演習などにより、会社の業務になるべく支障のない形での指導を行います。
また会社で持たれている課題をやっていただいたり、システム開発技法やプロジェクトマネージメントの事例研究をやっていただく、など
様々なテーマに対応します。

3. 研究方法

− 発表: みなさんが研究し、導いた結果を発表します。 研究室におけるもっとも大事な場です。 この蓄積が、修士論文となります。
遅刻、無断欠席、居眠りなどは厳禁。構成員全てと知識を共有するために、自分で理解するのはもちろん、どう説明すれば理解してもらえるかを考えて発表すること。
発表時は、レジュメを作成し、それを用いて、発表します。レポート名、著者名などを記して、ファイルします。

− 輪講: 英語の基本文献を読むことにより、知識を効率的に吸収します。また、英語の読解力の向上、及びまとめる能力、説明する能力を養います。

− 文献紹介: 当面するテーマと密接に関連する文献の手法、議論、結果などを紹介します。

以上で作成した資料は、下記の規則で管理し、それを編集して、修士論文を作成します。

資料命名ルール:
RXX0YYY - 発表論文 (XX: 発表年度、YYY:通し番号)
RXX2YYY - 学外発表論文 (XX: 発表年度、YYY:通し番号)
RXX3YYY - 修士論文 (XX: 発表年度、YYY:通し番号)
RXX4YYY - ゼミ修了論文 (XX: 発表年度、YYY:通し番号)
RXX5YYY - 輪講資料 (XX: 発表年度、YYY:通し番号)
RXX6YYY - 文献紹介資料 (XX: 発表年度、YYY:通し番号)
 

- 学会発表

学会(研究会)発表は積極的に行ってほしいと思います。
 
 研究を発表することには、メリットがあります。

 一つは、自分がやってきたことに対して、いろいろな立場の人からコメントがもらえるということです。
好意的なものもあれば、痛いところを突かれることもあります。研究のヒントになるような意見をもらえることもあります。
研究を始めたばかりの、まだ自分の行き先さえ漠然としているときには、これらはすべて貴重な経験になります。
人からの評価を受けることは怖いことですが、研究を公表すれば力がついてきます。

 もう一つの大きなメリットはいろいろな人と知り合いになれることです。
同じような研究をしている知り合いができるだけでなく、領域は違っていても立ち話などができるような人ができるのです。このようなネットワークができることは重要です。
研究に対する考え方の幅、興味の幅などをひろげるよい機会ですし,進学や就職のことを考えたときでも、そのネットワークは有効です。

私が、所属している主な学会は次の通りです。

これらの学会が主催する研究会や全国大会での発表、あるいは各種国際会議での発表(英語)などを行っていきます。
 

- 論文作成

私の研究室では現実の問題に対する仮説と検証を行う論文であることが望まれます。理論でも、実証でも、ケース分析でもかまいませんが、
事実に基づく議論と検証であることが最重要です。

テーマの選定で論文の8割は決まるので、熟慮してください。テーマはこれまでの研究や経験から来るものなので、
ゼミの中でゼロから見つける、ということは時間的に無理です。テーマの変更は留年の可能性を増大させます。

解明したい問題を提起し、その問題は本当に問題なのか、問題を解明しやすく分解することはできるか、などの観点から、
ゼミ生全員との議論を通じて、研究という形にしていきます。これができれば、あとは検証手順を踏むだけです。
すなわち、前記の通り、日々のアクティビティの集合が論文という形になるわけです。

4.運営スケジュールなど

運営方針:活発、斬新かつ論理的な議論を実現するためであれば、柔軟な運営を行います。
個々の問題については、ゼミ生が主体性を持って提案いただきたいと思います。

前期:
週1回、2時間から3時間の議論、プレゼンを行います。
基本的に、本や論文を一から全員で読む輪講は、各自の基礎知識などを勘案して、機動的に行います(自主ゼミで行うこともある)。
論文や本、および情報の入手は各自が常に行う課題です。
入手した情報について説明し、使えるかを含めて議論することも初期の段階では必要でしょう。

後期:
前期の研究成果をどうまとめるか、という切り口でゼミを運営します。
基本的にはアイディアの検証とその妥当性をどのように検証するか、について提案してもらい、議論を進めます。

合宿:
学部の合宿に参加してもらうことがあります。合宿に代わるものとして、集中勉強会を行うことがあります。
ゼミ生の共通の関心がある場合には、ゼミ生の合議により、プロジェクトを立ち上げ、そのための共同研究、分析を行うという可能性もあります。
 

5.よくある質問

上記の内容と重複する部分もありますが、私の研究室だけでなく大学院一般を想定した回答となっています。