第 2 課 - OSI モデル

OSI 参照モデル

物理層【physical layer】
OSI参照モデルの第1層に位置し、ネットワークの物理的な接続・伝送方式を定めたもの。英語表記の頭を取って「PHY」と略称されることもある。 具体的には、ケーブルの材質やコネクタ形状、およびデータと電気信号の相互変換方式(電圧などの規定)などがこの層に属する。 物理層ではデータの内容については一切関知しない。RS-232Cなどのインターフェース規格や、リピータハブやケーブル類といった製品が物理層に相当する。
データリンク層【data link layer】
OSI参照モデルの第2層に位置し、ネットワーク上で直結されている機器同士での通信方式を定めたもの。 電気信号の誤り訂正や再送要求などがこの層で行われる。PPPなどの規格がデータリンク層に相当しており、スイッチングハブなどの製品がデータリンク層をカバーしている。
ネットワーク層【network layer】
OSI参照モデルの第3層に位置し、データリンク層以下のプロトコルを使用して接続されているネットワーク同士の通信をおこなうための方式を定めたもの。 ネットワーク上の全コンピュータに一意なアドレスを割り当て、データの伝送経路選択、パケットサイズの変換などがおこなわれる。IP(インターネットプロトコル)などがネットワーク層に属し、ルータなどの製品がネットワーク層をカバーしている。
トランスポート層【transport layer】
 OSI参照モデルの第4層に位置し、データ転送の信頼性を確保するための方式を定めたもの。 具体的には、ネットワーク層を通して送られてきたデータの整序や誤り訂正、および再送要求などをおこなう。TCP、UDPなどがトランスポート層に属する。
セッション層【session layer】
OSI参照モデルの第5層に位置し、通信の開始時や終了時などに送受信するデータの形式などを規定したもの。 この層で論理的な通信路が確立される。セッション層からアプリケーション層までの通信方式は単一のプロトコル(例えばHTTP)で定められていることが多い。
プレゼンテーション層【presentation layer】
OSI参照モデルの第6層に位置し、圧縮方式や文字コードなど、データの表現形式を規定したもの。 個別のバイナリファイルをネットワークで通信できる形式に変換したり、逆にネットワーク経由で受信したデータをアプリケーションソフトが認識できる形式に復元したりする部分にあたる。セッション層からアプリケーション層までの通信方式は単一のプロトコル(例えばHTTP)で定められていることが多い。
アプリケーション層【application layer】
OSI参照モデルの第7層に位置し、ネットワークアプリケーションのうちユーザが直接接する部分。 ネットワーク経由での送受信を行なうプログラムとユーザとの入出力を行なうプログラムの間の通信にあたる。セッション層からアプリケーション層までの通信方式は単一のプロトコル(例えばHTTP)で定められていることが多い。

データのカプセル化

  1. 【アプリケーション層、プレゼンテーション層、セッション層】 データを作成します。
    ユーザが電子メール・メッセージを送信するとき、英数字はインターネットワークを通過できるデータ形式に変換されます。
  2. 【トランスポート層】エンドツーエンドの通信に適するようにデータをパッケージ化します。
    データはインターネットワーク上での通信用にパッケージ化されます。セグメントを使用することで、電子メール・システムの両端のホストの間での信頼性のある通信ができるようになります。
  3. 【ネットワーク層】ネットワーク・アドレスをヘッダーに追加します。
    データは、送信元と宛先の論理アドレスが書かれたネットワーク・ヘッダーを含むパケット(またはデータグラム)に変換されます。これらのアドレスにより、ネットワーク機器は指定された経路に沿ってパケットを送信することができます。
  4. 【データ層】ローカル・アドレスをデータ・リンク・ヘッダーに追加します。
    各ネットワーク機器は、パケットをフレームに入れます。フレームは、リンク上で直接つながっている次のネットワーク機器への接続を行います。指定されたネットワーク経路上にある各機器をその次の機器に接続するには、フレーム制御を行う必要があります。
  5. 【物理層】フレームをビットに変換して伝送します。
    メディア(通常はケーブル)を介して伝送するために、フレームを 1 と 0(ビット)のパターンに変換します。ビット列がメディアを通過するときに、クロッキングの機能により機器はビットを識別することができます。物理的なインターネットワーク上のメディアは、使われる経路によって異なります。たとえば、LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)上で発信された電子メール・メッセージがキャンパスのバックボーンを通過し、WAN リンクを通って別のリモート LAN 上の宛先に到達する場合もあるでしょう。データが OSI モデルの層を下に通過するときに、ヘッダーとトレーラが付加されます。

TCP/IP モデル

TCP/IP モデルには、アプリケーション層、トランスポート層、インターネット層、ネットワーク・アクセス層という 4 つの層があります。TCP/IP モデルの層の一部には、OSI モデルの層と同じ名前が付いていますが、アプリケーション層の機能はそれぞれのモデルで異なるので、2 つのモデルの層を混同しないよう注意してください。

  1. アプリケーション層
    TCP/IP の設計者は、上位レベルのプロトコルにセッション層とプレゼンテーション層の詳細を含めた方がよいと考え、上位レベル・プロトコル、データの表現方法や符号化の問題、対話制御機能などを単純にアプリケーション層で扱うことにしました。TCP/IP ではアプリケーションに関連するすべての問題を 1 つの層にまとめ、このデータが次の層のために適切にパッケージ化することを保証しています。
  2. トランスポート層
    トランスポート層は、信頼性、フロー制御、エラー訂正に関するサービス品質の問題を扱います。トランスポート層のプロトコルの 1 つ、Transmission Control Protocol(TCP)は、信頼性が高くフロー制御が容易でエラーの少ないネットワーク通信ができる高品質で柔軟な方法を提供します。TCP は、コネクション型のプロトコルです。TCP は、送信元と宛先の間の対話を扱う一方で、アプリケーション層の情報をセグメントと呼ばれる単位にパッケージ化します。コネクション型とは、通信するコンピュータ間に回線があることを意味するものではありません(回線が介在するものを回線交換と呼びます)。コネクション型とは、レイヤ 4 のセグメントが 2 つのホスト間で往復し、ある時間内に接続されていることを論理的に認識することを示します。
  3. インターネット層
    インターネット層の目的は、パケットをインターネットワーク上の任意のネットワークから送信し、使う経路やネットワークにかかわらず、宛先に到達させることにあります。インターネット層を制御するためのプロトコルを Internet Protocol(IP;インターネット・プロトコル)と呼びます。この層で最適な経路が決定され、パケット交換も行われます。これを郵便システムにたとえて考えてみましょう。手紙を出すとき、どのようなルートで届けられるかは普通気にしないものですが、きちんと宛先に届くかどうかは気になります。
  4. ネットワーク・アクセス層
    この層の名称にはきわめて広範な意味があり、やや紛らわしいところがあります。この層は host-to-network 層とも呼ばれ、IP パケットが実際に特定の物理リンクを通ってから、別の物理リンクを通るのに必要なすべての問題を処理します。ネットワーク層には、LAN や WAN テクノロジーの詳細、OSI の物理層とデータ・リンク層の詳細がすべて含まれます。
  1. IP (Internet Protocol) 米国防総省のネットワークプロジェクトで開発されたプロトコル。 OSI基本参照モデルの第3層(ネットワーク層)に位置し、ネットワークに参加している機器の住所付け(アドレッシング)や、相互に接続された複数のネットワーク内での通信経路の選定(ルーティング)をするための方法を定義している。 コネクションレス型のプロトコルであるため、確実にデータが届くことを保証するためには、上位層のTCPを併用する必要がある。 UNIXの標準プロトコルとなったことから急速に普及が進み、現在世界でもっとも普及している。IPによって世界規模で相互に接続された巨大なコンピュータネットワークをインターネットと呼ぶ。

まとめ

OSIモデル

カプセル化

TCP/IPモデル

TCP/IPプロトコルツリー

 

 

アプリケーション

データ

アプリケーション

FTP

HTTP

SMTP

DNS

DNS

TFTP

プレゼンテーション

 

 

 

 

 

 

 

 

セッション

 

 

 

 

 

 

 

 

トランスポート

セグメント

トランスポート

TCP

 

 

 

UDP

 

ネットワーク

パケット

インターネット

IP

 

 

 

 

 

データ・リンク

フレーム

ネットワークアクセス

 

物理

ビット

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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