結び目(knot)

定義

S11 ∪ … ∪ S1n の S3 への埋め込み f : S11 ∪ … ∪ S1n → S3、又はその像 f ( S11 ∪ … ∪ S1n ) ⊂ S3絡み目(link) という。 特に、n=1 のときは 結び目(knot) という。

結び目の補空間(complement)と外部(exterior)

K ⊂ S3 を結び目とする。 S3 - K を K の 補空間(complement)という。 S3 - K は向き付け可能で連結な3次元多様体であるが、境界を持たないのでコンパクトではない。 K の正則近傍を N(K) とし、E(K) = S3 - int N(K)とおく。 E(K) を K の外部(exterior)という。 N(K) はトーラス体である。 E(K) はコンパクト、向き付け可能で連結な3次元多様体である。

自明な結び目(trivial knot)

K ⊂ S3 を結び目とする。K が次を満たすとき、自明な結び目(trivial knot)という。

練習問題

次の条件が互いに同値であることを示せ。

  1. K が自明な結び目である。
  2. ディスク D ⊂ S3 で、D∩K=∂D となるものが存在する。
  3. E(K) が境界可約である。
  4. E(K) がトーラス体である。

トーラス結び目(torus knot)

K ⊂ S3 を結び目とする。K が次を満たすとき、トーラス結び目(torus knot)という。

練習問題

次の条件が互いに同値であることを示せ。

  1. K がトーラス結び目である。
  2. E(K) 内に本質的なアニュラス A が存在して、E(K) = V1 ∪ V2、A = V1 ∩ V2と K の外部が分解される。ここで、V1、V2 はトーラス体とする。

サテライト結び目(satellite knot)

K ⊂ S3 を結び目とする。K が次を満たすとき、サテライト結び目(satellite knot)という。

双曲結び目(hyperbolic knot)

K ⊂ S3 を結び目とする。K が次を満たすとき、双曲結び目(hyperbolic knot)という。

従って、結び目 K が自明な結び目でもトーラス結び目でもサテライト結び目でもないとき、K は双曲結び目である。

例題

連結和(connected sum)

K1 ⊂ S3, K2 ⊂ S3 を結び目とし、 点 x1 ∈ K1, x2 ∈ K2 に対し、B1 = S3 - int N(x1), B2 = S3 - int N(x2) とおく。 ∂Bi = Si とおくと、Si は2次元球面であり、Ki ∩ Si はその中の1次元球面である。

このとき、同相写像 (S1, K1 ∩ S1) → (S2, K2 ∩ S2) によって、S1 と S2, K1 ∩ S1 と K2 ∩ S2 を同一視し、 (B1, K1 ∩ B1) と (B2, K2 ∩ B2) を貼り合わせる。

この結果得られる結び目 K ⊂ S3 を K1 と K2連結和(connected sum)といい、K1 # K2で表す。 逆にこのとき、K は K1 と K2分解(decomposition)されるという。

結び目 K の任意の分解 K = K1#K2 に対して、K1 と K2 の少なくとも一方が自明な結び目となるとき、K は素(prime)であるという。 ただし、自明な結び目は素ではないと定める。

例題


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