多様体(manifold)

定義

位相空間 X が 次を満たすとき、X を n次元(位相)多様体という。

  1. X はハウスドルフ空間である。
  2. 任意の点 x∈X に対し、x の近傍 U で、Rn または Rn+ = { (x1, …, xn)∈Rn | xn≧0 }) の開集合 V と同相なものが存在する。

Rn+ に同相な近傍を持つ点 x∈X から成る集合を X の境界といい、∂X で表す。 X - ∂X を X の内部といい、int Xで表す。 X がコンパクトかつ ∂X = φ を満たすとき、X をn次元多様体という。 X がコンパクトでなく、かつ ∂X = φ を満たすとき、X をn次元多様体という。

n次元球面 Sn
Sn = { (x1, …, xn, xn+1)∈Rn+1 | x12 + … + xn2 + xn+12 = 1 }
n次元球面はn次元ユークリッド空間内の原点からの距離が 1 の点の集まりである。 各点の近傍は Rn の開集合と同相であるから、Sn は n次元多様体である。 また、Sn はコンパクトで、∂Sn = φであるから、閉n次元多様体である。
n次元球体 Bn
Bn = { (x1, …, xn)∈Rn | x12 + … + xn2 ≦ 1 }
n次元球体はn次元ユークリッド空間内の原点からの距離が 1 以下の点の集まりである。 各点 (x1, …, xn)∈Bn の近傍は、 であるから、Bn は n次元多様体である。 また、∂Bn = Sn-1 ≠φ であるから、Bn は閉n次元多様体ではない。

埋め込み(embedding)

X を n 次元多様体、 Y を m (≦ n) 次元多様体とする。 連続写像 f : Y → X が次を満たすとき、埋め込み(embedding)という。

また、埋め込み f : Y → X が次を満たすとき、適切(proper)という。

一般の位置(general position)

X を n 次元多様体、Yi を X 内に埋め込まれた mi 次元多様体とする(i=1, 2)。

点 x ∈ Y1 ∩ Y2 の X 内での開近傍 N(x) において、 3つ組 ( X ∩ N(x), Y1 ∩ N(x), Y2 ∩ N(x)) が ( Rn, Rm1 × {0}n-m1, {0}n-m2 × Rm2) に同相であるとき、Y1 と Y2 は x において横断的(transverse)に交わっているという。 また、任意の点 x ∈ Y1 ∩ Y2 において、横断的に交わっているとき、Y1 と Y2横断的(transverse)に交わっているという。

Y1 と Y2 が横断的に交わっているとき、Y1 ∩ Y2 はφかまたは X 内の m1 + m2 - n 次元部分多様体である。このとき、Y1 と Y2一般の位置(general position)にあるという。


Copyright (C) Makoto Ozawa. All Rights Reserved.
mail_address