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禅思想の基底にある「無心」をテーマとして、墨蹟・禅籍などによって、中世禅宗のあゆみや禅文化をたどり、さらに「無心の世界」を、禅林墨蹟と日本画家佐藤多持氏(1919―2004)のライフワーク「水芭蕉曼陀羅」との対比という初めての試みによってさぐります。
禅は中世においては様々な文化や芸術にも影響を与えました。
禅の教えでは「無」が強調されます。
無心・無念・無相・無住・無事・無字公案などです。
禅僧は自らの悟りの境地を、禅者としての風格を、さまざまな方法―ことば・行動・書・絵画など―で人々に示しました。それが現在に伝わる禅僧の墨蹟・絵画などであり、独特の領域を形成しています。
佐藤多持氏は、真言宗の寺院に生れ、尾瀬の水芭蕉との劇的出会いにより画家としての歩むべき道が決定し、ひたすら美の本質を探究し「水芭蕉曼陀羅」を描きつづけました。
禅の世界と水芭蕉曼陀羅の世界という異質とも思える二つの世界の出会いを通して、皆様がそれぞれに「何か」を感得されるならば幸いであります。
駒澤大学禅文化歴史博物館 館長 伊藤 隆壽
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