常総水害(平成27年9月関東・東北豪雨)

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常総市の地形

常総市は茨城県の南西部にあり、2006年に石下町と水海道市が合併して生まれました。市域は南北に長く、市の中央を鬼怒川が南流しています。市の西部(鬼怒川より西)は、結城台地に直線状の谷が入り込んでいます。市の東部(鬼怒川より東)は、鬼怒・小貝低地となっています。この鬼怒川と小貝川の間の低地は、水害には脆弱な地域で、地形を観察すると、いくつかの旧可動がみつかります。かつて鬼怒川や小貝川はこの地で蛇行して流れていたことがうかがわれます。関東鉄道常総線および国道296号線が市を南北に貫いていて、東西道路としては、北部を県道土浦境線、南部を国道354号線が横切っています。

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避難指示・勧告タイムライン

2時20分の段階で、一部の地域には避難指示が出されているものの、堤防の決壊は想定していなかったようで、午後は大混乱に陥ります。ハザードマップを作成するだけが、事前の防災対策だけではなく、有事の際の避難行動計画が住民との間で共有しておくことが大切です。

日時 常総市の対応←                      →被害の状況など
9日16時36分 大雨洪水警報発表
9日23時20分 上流の筑西市川島で氾濫危険水位超過
10日2時20分 玉地区、本石下、新石下(県道以北)に避難指示
10日04時00分 新石下(県道以南)、大房、東野原、山口、平内、収納谷に避難勧告
10日04時20分 鬼怒川水海道、氾濫注意水位超過
10日05時40分 鬼怒川水海道、避難判断水位超過
10日6時半頃 若宮戸より越水
10日06時30分 国土交通省「若宮戸より越水」を発表
10日06時40分 鬼怒川水海道、氾濫危険水位超過
10日07時10分 鬼怒川水海道、既往最高水位超過
10日07時40分 常総市役所「若宮戸より越水」を発表
10日07時45分 気象庁が茨城県に「大雨特別警報」を発表
10日08時00分 国土交通省が上流の「筑西市船玉(左岸)で越水」を発表
10日08時00分 国土交通省が上流の「筑西市伊佐山(左岸)で越水」を発表
10日08時45分 坂手地区、内守谷地区、菅生地区に避難勧告(鬼怒川右岸)
10日09時00分 向石下、篠山に避難指示(鬼怒川右岸)
10日09時55分 水海道元町など常総市南部市街に避難指示
10日10時00分 アピタ石下開店、まもなく浸水
10日10時10分 鬼怒川水海道、計画高水位超過
10日10時30分 中三坂地区に避難指示
10日11時30分 大和町、羽生町に避難指示(鬼怒川右岸)
10日13時00分 鬼怒川水海道で最大水位(8.08m)
10日13時過ぎ 三坂町付近で左岸破堤
10日13時15分 常総市役所「三坂町付近で破堤」を発表
10日13時20分 国土交通省「新石下地先(三坂町付近)で破堤」を発表
10日13時30分 鬼怒川東側の全域に避難指示
10日午後 常総市内各所で浸水域拡大、道路渋滞
10日24時00分 市南部の常総市役所も浸水

上流の筑西市川島で氾濫危険水位を超えたタイミング(9日23時20分)で、「避難準備情報」は出せたのではないかと思います。深夜ではありますが、事前に市民に危険を周知できたのではないでしょうか。鬼怒川水海道の水位が避難判断水位を超えた時(10日5時40分)に、鬼怒川の両岸堤防から50m以内の住民に「避難指示」、低地の住民に「避難勧告」を発表することができたものと思われます。越水が始まったのは、10日6時半頃です。すでに災害が起きてしまったわけで、このとき、避難指示のエリアを鬼怒川東側全域に拡大すべきだったのではないでしょうか。その時点で周辺市町村に依頼して台地上の避難所を確保する必要があります。これらは、事前に対応策を決めておけば実行できたのではないかと思われます。

アピタ石下店は避難指示の対象エリアとみられますが、10時より通常通り営業を開始したようです。すでに6時半頃より越水が始まっているのにです。「避難指示」の情報は、的確に伝わっていなかった可能性があります。

常総市での死者は2人です。一人は三坂町の決壊地点近くに自宅があった71歳男性です。決壊後の濁流にのまれてしまったのかも知れません。もう一人は、つくば市真瀬の自転車修理のお仕事をしていた51歳男性で、修理した自転車をトラックに積んで群馬県へ配送する途中で遭難しました。10日早朝の段階(越水前)にすでに内水氾濫が発生し、水田地帯は冠水していたようです。昼前に「歩いて帰る」との連絡があり、その後発生した決壊により、動きが取れなくなったのかもしれません。三坂町破堤地点周辺では、自衛隊ヘリや各都県の応援防災ヘリによって、多数の人が救出されました。

常総市では、空き巣による被害が多発したと報じられています。また農業被害も深刻です。また大量の水害ゴミが出ていますが、直接関係のないゴミを捨てにくる事例も生じているようです。自衛隊風の迷彩服を着た怪しい集団、水没した自動車を安く買い取ろうとする業者などが現われています。こういった「事後の災害」についても注意しなくてはなりません。

一方で、災害後に多くのボランティアが常総市に入り、住宅の泥のかき出し作業を手伝いました。

シルバーウィーク期間中に多くの人がボランティアに参加しています。2015年9月25日までの累計では、2万人近くにもなります。早い段階での支援が、被災者を勇気付け、その後の復旧、復興活動にプラスの影響をもたらすと考えられます。

     常総市 ボランティアセンター  茨城県 ボランティアセンター
9月12日   212人
9月13日   550人
9月14日 196人 475人
9月15日 680人 457人
9月16日 919人 425人
9月17日 雨天中止 203人
9月18日 雨天中止 206人
9月19日 1763人 251人
9月20日 2387人 404人
9月21日 3103人 462人
9月22日 3060人 434人
9月23日 1830人 290人
9月24日 776人 178人
9月25日 雨天中止 120人

 

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