令和元年東日本台風
(~令和元年大水害~2019年台風19号)

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台風19号による記録的な大雨により多摩川が増水し、川崎市、世田谷区、大田区で越水・内水氾濫が発生しました。

*いずれ市役所・区役所が浸水実績図を作成すると思われます。研究等では公的な情報をご利用ください。本ページは速報です。

多摩川下流域の水害(武蔵小杉)

*桃色枠(現地を歩いて浸水跡などを確認したもの) *橙色枠(国土地理院空中写真から推定したもの)

タワーマンションが林立する東横線武蔵小杉駅と横須賀線武蔵小杉駅の間が浸水しました。 空中写真からNEC敷地内も浸水していたことがわかりました。また、道路の変色具合から上丸子山王町、下沼部周辺も浸水していたものと推定されます。明治39年の地図から、多摩川旧河道とその周辺低地に被害が集中している様子です。(浸水範囲kml)
作図には今昔マップ3を利用しました。

 

パークシティ武蔵小杉の
公開空地「ふれあいの丘」
植栽に浸水跡が確認できます。
(70~80cm位)

綱島街道
中原消防署前交差点近く

水はもう引いています。

翌日15時頃撮影。
川崎市中原区新丸子東3丁目

奥に見える駅舎が
東横線武蔵小杉駅です。

すでに水は引いていますが、
道路上に泥が堆積しています。


SNSで汚水の悪臭と
騒がれましたが、

意識しないとわからない程度でした。
「ドブ川」のような匂いが
かすかにしました。



翌日15時頃撮影

JR横須賀線
武蔵小杉駅新南口改札口

浸水の被害を受け
改札機やエレベーターが
使えなくなりました。

翌日は旅客取り扱いはなく、
横須賀線の電車は
通過することになりました。

写真奥で
掃除している方がいます。

翌日15時頃撮影
新丸子東第2公園

壁に浸水跡を確認できます。
(10~15cm位)

壁の向こう側は、
パークシティ武蔵小杉の
公開空地「こもれび広場」です。

3連休2日目でしたが、
公園で遊んでいる
子どもはいませんでした。

翌日15時頃撮影




 

多摩川下流域の水害(玉堤・田園調布5丁目)

*桃色枠(現地を歩いて浸水跡などを確認したもの。国土地理院空中写真も参考にしています)

多摩川左岸低地が浸水しました。丸子川は江戸時代に作られた「六郷用水」で、台地の崖下を低地では比較的高いところを流れています。台風による大雨で多摩川が増水したため、等々力渓谷を流れ下る谷沢川の排水ができなくなって、谷沢川があふれました。東京都市大は図書館などが浸水被害を受けています。また、丸子川の水を多摩川に逃がす排水路も多摩川への排水が不能となったためあふれました。特に、丸子川と多摩川の間を平行して流下する排水溝周辺の浸水被害が大きいようです。なお、川崎側対岸の等々力緑地でも市民ミュージアムが浸水被害を受けています。こちらは旧河道です。作図には今昔マップ3を使用しました。

 

丸子川・大田区田園調布4丁目

下流に向かって撮影したものです。
左側が台地の崖(ハケ)です。


前方の信号は
玉堤通りとの合流交差点です。

左側の草に浸水跡が確認できます。

5日後に撮影
排水溝・田園調布5丁目

丸子川と多摩川の間に
平行して排水溝があり、
低地で最も低い場所です。

この排水路の周辺で
浸水被害が起きているようでした。

5日後に撮影



多摩川左岸低地の模式断面図
多摩川左岸低地の様子

洗濯機や冷蔵庫、ソファー、畳など
水害ゴミから
床上浸水だったことが
わかる

八幡神社下
道路脇に集められた水害ゴミ

緑の欄干は多摩川への放水路
流水はここより350m下流で
多摩川に放流されます。

多摩川増水により
排水ができなくなって、
放水路周辺であふれてしまいました。

放水路であふれた水が、
前掲の排水溝にも
流れ込んだようです。
丸子川放水路水門

この水門を開けば、 
多摩川への出口を失っている
放水路の水量がさらに増えますし
水門を閉じれば、
丸子川もあふれてしまうような
状況だったかと推察されます。

【谷沢川の水位】

谷沢川の水位グラフ(データ:東京都水防災総合情報システム)
等々力渓谷を流下する谷沢川の水位のデータです。渓谷出口の矢川橋の水位は12日13時頃より上下を繰り返しましたが、堤防天端(てんば)に達することはなかったようです。滝ノ橋は、谷沢川と丸子川(六郷用水)が交差するところです。12日21時頃に堤防天端スレスレまで水位が上昇しました。多摩川への排水を行う玉川樋管では、17時40分に天端を超えました。多摩川の増水により排水ができなくなったものとみられます。玉川樋管のデータは12日21時より欠測となっています。谷沢川(丸子川?)からあふれた水は世田谷区玉堤の低地に向かい、東京都市大学の図書館が水没するなどの被害が出ています。

【丸山橋の水位】

東京水防災情報システム公開画像です
動画にしました。

場所は丸山橋、中町小学校の近くです
用賀のちょっと下流で、
等々力渓谷の上流になります。
玉川排水樋管の2.5km上流です。

12日6時頃急激に水位が増えました。
12日21時頃が最も水位が
高かったようです。


 

等々力渓谷の様子

台風上陸から8日後

何事もなかったように
見えますが、
説明板が下流側に
倒れていました。
水門近くの谷沢川左岸

ガードレールの
向こう側に
玉川排水樋管の建物が見えます。

多摩川が増水した際に
水門を閉めて
逆流を防ぎましたが、
谷沢川がこの場所で
あふれました。

金網に引っかかっている
落ち葉の高さで、
あふれた時の水位がわかります。
最大で160cm位でした。

東京都市大学

図書館を中心に
被害があったと
報道されました。

地下の教場の備品でしょうか
椅子が運び出されています。

こちらの浸水は
丸子川からかもしれません。

世田谷区玉堤

台風上陸8日後の写真です
水害ゴミが積まれています

近所から
「工事おわりました~」
「電気つかえます」
「そう。ありがたいわね」

という会話が聞こえて
来ました。


 

多摩川下流域の水害(溝の口)

多摩川右岸18.6kにある水位観測所では、12日22時10分に最大水位(標高15.07m)に達しました。多摩丘陵を流れ下る平瀬川多摩川合流付近の堤外地では、多摩川からの逆流あるいは背水現象により浸水し、マンション1階で60代男性が亡くなっています。また、対岸の二子玉川駅下では、12日22時20分頃に越水がはじまったものとみられます。
水位のデータは「川の水位情報」より、地理院地図「自分でつくる色別標高図」機能を利用して作図しました。

 

平時の平瀬川
撮影は2015年4月

川とはいっても
底面・側面が
コンクリートで
固められた排水路です。

写真は
二ヶ領用水円筒分水近く
南部線津田山駅付近
から水路トンネルの
出口付近です。

前掲の地形図では
16.2mの水準点の
近くです。

本資料は2019年10月に速報的にまとめたものです。

各機関、各研究者のその後の調査等により、論文や報告書がまとめられていますので、そちらを参考にしてください。