「北極と南極で起こっていること」
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オゾンはどこで作られ、どこで壊されるか?
オゾンがたくさん作られるのは赤道の上空です。
地球に向かって真上から太陽光線が降り注ぐので、降り注ぐ紫外線量も多く、
作られるオゾンの量も多いのです。
赤道上空でたくさん作られたオゾンは、半分は南半球に広がり、
南極上空にオゾン層を作るわけです。
さて、南半球の冬には、南極は極夜となり、厳しい冷え込みとなります。
太陽の光が届かないので成層圏の温度もどんどん下がります。
すると、南極の上空には「極成層圏雲」という雲ができ、
これを触媒として、オゾン破壊の化学反応が進むと考えられています。
オゾン層の穴が一番大きくなるのは、南極の早春で、9月から10月頃です。
10月半ば以降は、赤道付近から新しいオゾンが送られてくることもあり、
穴は小さくなります。
北極でも南極と似たような現象が起こっています。
![]() |
オゾンホール面積が最大となった日の全量オゾン分布図。(本年は暫定) マウスを画像上にもっていくと、去年の最大日の画像に変わります。 ![]() 全量オゾン220m atm-cm(ドブソンユニット)以下が オゾンホールとされます。 上の図では濃い青や紫のところがオゾンホールに該当します。 穴の周りは、オゾン量の多いエリアが帯状にとりまくことがあります。。 |
オゾン層破壊についての説明(気象庁)
http://www.data.jma.go.jp/gmd/env/ozonehp/3-10ozone.html
空間スケールを変えて考えてみると.....
オゾンは人体に有害です。吸い込むと刺激臭がします。
けれど、成層圏のオゾンは有害な紫外線から地球の生物を守ってくれます。
フロンガスは人体に無害で安定した物質です。
けれど、大切なオゾン層を壊してしまうのです。
人体への影響を考えたら、フロンは「味方」で、オゾンは「敵」です。
一方、オゾンホールから考えたら、敵と味方が逆転してしまうのです。
このように、身の回りの事柄だけ考えていると、
大切な全体を見落とす危険があります。だから広い視野を持ちましょう。
先進国ではフロンガス対策が進み、
オゾン層への影響が小さい「代替フロン」が使われるようになりました。
ただ、オゾンホールが小さくなるまでには、
あと10年から20年くらいかかるかも知れません。
対策を施しても効果が現われるには、時間がかかるというわけですね。
地球環境は長い目で考えていかねばなりません。
地球環境を壊してしまうと、直すのに時間がかかり、
時には手遅れになることもあります。
オゾン | フロンガス | |
ミクロなスケールで 考えてみると... |
人体に有毒 刺激臭がする (悪) |
化学的に安定 人体に無害 (善) |
グローバルなスケールで 考えてみると |
生物にとっての 有害紫外線を吸収 (善) |
オゾン層を破壊 紫外線量が増加 (悪) |
オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書
1987年に採択、1989年発効。日本は採択時に署名。
2006年2月現在の締約国数は188カ国+EC。
事務局はナイロビのUNEP(国連環境計画)に置かれています。
ウィーン条約に基づき、オゾン層を破壊するおそれのある物質を特定し、
該当する物質の生産、消費及び貿易を規制することをねらいとしています。
具体的には、成層圏オゾン層破壊の原因とされるフロン等の
環境中の排出抑制のための削減スケジュールなどの規制措置を定めています。
議定書の発効により、特定フロン、ハロン、四塩化炭素などが1996年以降全廃となり、
その他の代替フロン、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)なども順次、全廃となりました。
さらに、毎年同議定書の締約国会議が開かれ、1990年のロンドン改正、
1992年のコペンハーゲン改正、1997年モントリオール改正、
1999年北京改正により規制強化が図られています。
フロンガスは生産や利用が先進国が中心でしたので、
先進国同士の話し合いでなんとかなりましたが、
気候変動の原因となる二酸化炭素の方は、
先進国対発展途上国との間でもめたりします。
(参考)環境情報普及センター「EICネット」
外務省・外交政策・地球環境のページ