「北極と南極で起こっていること」
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オゾンの高度分布

ふつう気体の濃度は地上付近が最も濃くて、上空に行くにしたがって
薄くなるのが普通です。けれど、オゾンの高度分布はそうではありません。
高度20キロから25km付近に濃度のピークがあります。
太陽から降り注ぐ紫外線が酸素分子に衝突すると、
酸素分子は2個の酸素原子に解離します。
  
 2+ν→O+O    (ν...光量子のエネルギー)

こうしてできた酸素原子は、酸素分子とくっついて、

 O+O2+M→O3+M (M...窒素分子など)

オゾンが生成されるわけです。
高度50km以上では、"原料"となる酸素分子(O2)が少ないので、
反応があまりおこらず、オゾンはあまり生成されません。
高度10km以下では、酸素分子(O2)はたっぷりあるものの、
それより上層でほとんどの紫外線が使われてしまうので、
反応が起こりにくくなります。その結果、高度20km〜25km付近にピークが現れるのです。


ちなみにオゾンの高度分布は、場所によって、時期によって違います。

オゾン層の1年(南極点)米国海洋大気庁公開画像を動画化

縦軸は高度、横軸上は気温、横軸下はオゾン分圧
青線がオゾンを示している。




紫外線とは?
紫外線英語で書くと"ultraviolet rays"、直訳すると「ちょ〜むらさきっ」て感じです。
太陽光線はプリズムって道具を使うとの7色に
わけることができます。いわゆる虹の7色です。
この7色は人間の目に見えるので、「可視光線」と呼ばれますが、
人間の目に見えない光も存在しています。
プリズムで分光したとき、赤色の外側にある見えない光を「赤外線」、
紫色の外側にある見えない光を「紫外線」といいます。
「紫外線」はABCに分類されています。太陽光線は波の性質を持ちますが、
波長長いものからUVA、UVB、UVCとなります。
一番有害なのはUVCですが、オゾン層が吸収してくれるので、
通常は地上に降り注ぎません。危険なのはUVBです。
地上に降り注ぐ紫外線の1割を占めます。
オゾン層で吸収しきれないものが、地上にも降り注ぎ、日焼けの原因になります。
そして、UVAは地上に降り注ぐ紫外線の9割を占めます。
UVBほど強烈ではないものの、長期間浴びれば、シワやたるみの原因になり、
皮膚がんを引き起こすこともあります。
もし、成層圏のオゾン量が現在の10分の1になったとしたら...有害なUVBの量が増加し、
非常に危険なUVCさえ降り注いでくるおそれがあります。
これは、20億年前の地球の状態にあたり、その頃の生物は水中で生活し、
地上で繁栄した生物はいなかったと.....



大切なオゾン層をこわしたのは誰?

1930年ごろアメリカで作られた人工的な化学物質です。
人体には無害ですし、化学変化を起こしにくいですし、とっても安定した物質だったので、
エアコンや冷蔵庫の冷媒として使われたり、コンピューターの部品を洗ったりするのに
使われていました。またヘアスプレーにも使われ、とっても日常的なガスだったのです。
人々によってたくさん使われたフロンガスは、長い期間かけて、高度10キロ以上の
成層圏まで上っていき、そこで太陽からの紫外線を受けて、塩素(Cl)原始を放り投げます。
この塩素がオゾン層を破壊してしまうのです。反応式はこうなります。

    Cl +O3 → ClO +O2
+) ClO +O  → Cl  +O2
-----------------------------------
正味  O3 +O → 2O2


難しいですか?つまりね。塩素原子は、オゾンから酸素原子をひとつとりあげて、
オゾンを壊してしまうのです。とりあげた酸素原子はすぐに手放して独立し、
再び別のオゾンから酸素原子をひったくって...というように繰り返しオゾンを壊していくんです。
エアコンを使ったことのある人、ヘアスプレーの使ったことのある人、
み〜んなオゾン層を壊した責任があります。
ただ、最近では法律で規制されるようになったので、他の物質に取り替えたり、
使われる量が少なくなってきています。

最近ようやく減り始めたようです。

大気中のフロン濃度(気象庁)

CFC クロロ・フルオロ・カーボン
(塩素)(フッ素) (炭素)
特定フロン。オゾン層を破壊する。先進国では1996年までに全廃。発展途上国では2010年までに全廃となった。
HCFC ハイドロ・クロロ・フルオロ・カーボン
(水素) (塩素) (フッ素) (炭素)
指定フロン。CFCほどではないがオゾン層を破壊する。先進国では2020年までに全廃。発展途上国も2030年までに全廃の見通し。
HFC ハイドロ・フルオロ・カーボン
(水素) (フッ素)   (炭素)
代替フロン。塩素を含まないのでオゾン層を破壊しない。ただ、強力な温室効果ガス。
(HFC-134aの場合、二酸化炭素の1300倍)。

HFC-134aの写真      HFC-152aの写真

*CFC-12(ジクロロジフルオロメタン、HCFC-22(クロロジフルオロメタン)、

 HFC-134a(1,1,1,2-テトラフルオロエタン)

2016年10月15日、モントリオール議定書締結国会議が開催され、代替フロンについて、2036年までに85%削減する案が採択された。197の国と地域のうち20か国が批准すれば、2019年に発効となる。

 


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