テレコネクションの一例（日本の夏との関連）

テレコネクション
「ペルー沖の水温が高い」と「日本は冷夏になる」というように、
離れている場所で起こっている現象に相関が認められる場合があります。
エルニーニョの年には、ペルー沖の水温が高く、インドネシア近海の水温は相対的に低くなります。
そのため、インドネシア～フィリピン近海での雨雲は例年より不活発になり、
日本のはるか南方赤道付近の上昇気流は、例年に比べると弱まります。
赤道付近の上昇気流が弱いと、小笠原高気圧（夏の太平洋高気圧）が育たないので、
日本付近はいつまでも梅雨前線が停滞して冷夏になることが多いという傾向があります。
「風が吹いたら...桶屋が儲かる」的な説明ですが、エルニーニョ現象のような大規模なことがおこると、
将棋倒しのように周辺地域に波及していきます。
そのため、ペルーから離れた場所でも、異常気象が起こると考えられているのです。
下の図は、PJパターンのテレコネクションの説明です。
なお、エル・ニーニョ、ラ・ニーニャだけで、
日本の夏の天候が決まるわけではありません。実際には複雑です。

（番号は地図に対応）	エルニーニョ現象の時	ラニーニャ現象の時
①赤道付近の偏東風	例年より東風が弱い	例年より東風が強い
②ペルー沖　　　　　　表面海水温	ペルー沖に暖水が残る（ペルー沖は例年より高温）	ペルー沖の暖水は西に運ばれる（ペルー沖は例年より低温）
③インドネシア近海　　　　　　表面海水温	暖水が運ばれてこない。（インドネシア近海は例年より低温）	大量の暖水が運ばれてくる。（インドネシア近海は例年より高温）
③赤道太平洋西部　　　　　　　　　の雨雲	雨雲は不活発。上昇気流は弱い	雨雲が活発。上昇気流は強い。
④日本の南海上の　　　　　　夏の高気圧	下降気流が弱く、高気圧は発達しない。	下降気流が強く、高気圧が発達する。
⑤梅雨前線の動向	高気圧が発達しないので、梅雨前線はなかなか北上しない。	高気圧が発達するので梅雨前線が北上する。
⑤梅雨明け	梅雨明けが例年より遅れる	梅雨明けが例年より早まる。
とどのつまり...	夏は冷夏となりやすい。	夏は猛暑となりやすい。
日本社会への影響	農作物の不作、集中豪雨被害の多発	渇水、猛暑による熱中症患者増加

「エル・ニーニョ」「ラ・ニーニャ」と日本の夏（気象庁による）

夏	エル・ニーニョ	ラ・ニーニャ
気温
降水量
	エル・ニーニョの時は冷夏になりやすく、西日本で大雨になりやすい。ラ・ニーニャの時は北日本で猛暑になりやすい。あくまでもその傾向があるということであって、かならずそうなるとは限らない。

「エル・ニーニョ」「ラ・ニーニャ」と日本の冬（気象庁による）

冬	エル・ニーニョ	ラ・ニーニャ
気温
降水量
エル・ニーニョの時は西日本で暖冬になりやすく、東日本太平洋側は降水量が多くなる。ラ・ニーニャの時は明瞭な傾向は出ていない。あくまでもその傾向があるということであって、かならずそうなるとは限らない。