穀物市場とエルニーニョ
穀物価格の推移(米国農務省資料) ブッシェルとは穀物の計量に使われる単位で約35リットル ![]() |
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穀物の価格には天候の影響が強く影響している。
大豆の産地は、アメリカ、ブラジル、アルゼンチンなどで、世界の生産量の約75%を占める。 @エル・ニーニョが発生し、続けてラニーニャに移行する場合は、価格が上昇する傾向がある。 Aエル・ニーニョが発生し、その後ラ・ニーニャに移行しない場合は、価格が上昇しないこともある。 Bラ・ニーニャが発生すると価格は上昇することがある。 2007年に穀物価格が急騰した理由は、2007年4月の北米寒波、5月のウクライナ旱魃、夏季の北米の大雨、 2年続きのオーストラリア旱魃などが重なったことによります。 また、地球温暖化対策として、化石燃料に変わるバイオエタノールに注目が集まりました。 多くの小麦畑・大豆畑がバイオ燃料用のトウモロコシ畑に転換され、 作付け面積が減少した結果、小麦や大豆も急騰しています。 2012年は米国が高温・乾燥に見舞われた(エル・ニーニョでもラ・ニーニャでもない)。 とうもろこしは2012年8月に最高値、大豆は9月に最高値、小麦もとうもろこしに追従して上昇しました。 なお、2013年〜2014年はとうもろこしの豊作が続いたこともあり、2015年は価格が低下しています。 2022年にロシアがウクライナに侵攻しました。ウクライナでの小麦生産・輸出が滞り、小麦が急騰しました。 2023年以降は、穀物価格が下落していますが、コロナ前よりもまだ高い状態です。 日本の小麦の自給率はわずか14%です。84%を米・加・豪の3カ国から輸入しています。 |
小麦の生産国
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世界の小麦生産量は、7億3514万トンです。(FAO年鑑2020による)
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米国の小麦産地
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デュラム小麦は、弾力性の強いグルテンの含量が多い特徴があります。パスタ用のセモリナ粉に使われます。 硬質小麦は、弾力が高く、タンパク質含量が多い特徴があります。パン用の強力粉、中華めん用の中力粉に使われます。 軟質小麦は、弾力が低く、タンパク質含量が少ない特徴があります。ケーキやクッキー、天ぷら用の薄力粉に使われます。 デュラム小麦:ノースダコタ州が産地です。パスタ用として日本に輸出されています。 硬質赤小麦(冬):主に中西部が産地です。2等級以上が日本に輸出されます。 硬質赤小麦(春):中西部のカナダ寄りが産地です。2等級以上が日本に輸出されます。 軟質白小麦:オレゴン州、アイダホ州、ワシントン州産が日本に輸出されます。 軟質赤小麦(冬):ミシシッピ川流域やアパラチア山脈東麓が産地です。ほとんど日本には輸出されません。 |
四大穀物の世界収量とエル・ニーニョおよびラニーニャとの関係
とうもろこし | 大豆 | 小麦 | 米 | |
エル・ニーニョ | -2.3%(不作) | +3.5%(豊作) | -1.4%(不作) | -0.4% |
ラ・ニーニャ | -0.3% | -1.0%(不作) | -4.0%(不作) | -1.3%(不作) |
それ以外 | +2.2%(豊作) | -1.6%(不作) | +1.8%(豊作) | +0.5% |
農業環境技術研究所と海洋研究開発機構が共同で研究、2014年5月発表。