不確実性の量とコスト

 

 情報あるいは情報システム(情報源ともいう)が不確実性を減少させる知識であるならば、不確実性の量の減少分は情報の「量」となり、不確実性の価値(コスト)の減少分は情報の「価値」となる。

 以下では、この不確実性・情報の量と価値の計算方法を対比的に説明し、その評価原理におけるアナロジーを示そう。そして、不確実性のコストを「数量的」要素と「価値的」要素とに分解することによって、不確実性・情報の量と価値とを結びつける試みを示してみよう。

 

14 不確実性の量とエントロピー

 

 論点14と15では、確率分布で表される不確実事象(確率事象)の量的度合がエントロピー(entropy) という尺度で測られ、情報の量はそのエントロピーの減少分として捉えられることを学習する。

 


設例5.1[不確実性の量とエントロピー]


    [1]nとおり可能性が等確率で起こる不確実性の量を測る関数として

     

     

    を定義するとき(対数の底は2でも、常用対数の10でも、自然対数のeでもよい)、

    [2]一般に、ある確率事象系Θ=(θ1,θ2,…θn;p1,p2,,pn)の不確実性の量を

     

     

    と定義するとき、


 

 

 

 

 

15 エントロピーと情報の量

 


設例5.2[エントロピーと情報の量]


     第1章設例1.1の表1.1で与えられる80パーセントの信頼性をもつ天気予報システムに関して


 

 

 

 

 

16 不確実性のコストの分解

 

 本論点では、不確実性のコストを「数量的」要素と「価値的」要素とに分解することによって、不確実性および情報の量と価値とを結びつけるひとつの試みを示してみる。

 


設例5.2[不確実性のコストの2つの構成要素:数量的要素と価値的要素]


     Newsboy問題で代表される意思決定問題において、単位あたり超過損失(売れ残り損失)をO、単位あたり不足損失(品切れ損失)をUとしたとき、

    (1) 一様分布

    (2) 正規分布


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