九州の南から台湾にかけて連なる島々を「南西諸島」と呼びます。島々が弧状に連なっているところから「琉球島弧」とも呼ばれます。
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西表島
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面積は289.61km2で横浜市の3分の2ほどの大きさです。沖縄県内では本島に次いで2番目の大きさです。 島の人口はわずかに2379人です。島の地形には起伏があり、最高峰の古見岳の標高は469.5mです。 ケッペン区分では、熱帯雨林気候(Af)になります。(クリマダイヤグラム西表島)黒潮の影響で1月でも暖かです。 年中高温でまとまった雨が降るため、島の大部分は熱帯雨林(地理院地図空中写真)に覆われています。 沖縄県では比較的標高の高い島なので、かつての海面上昇によって海没せず、島固有で多様な生物種がみられます。 良く知られている固有種は「イリオモテヤマネコ」です。 海岸付近はマングローブ林は開発からまぬがれ、カヤックを利用してのツアーがあります。 (youtube西表島カヤック体験) (東南アジアのマングローブ林の多くは、エビの養殖場などに変わりました。そのエビは日本人が多く食しています。) |
沖縄本島北部
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沖縄本島を人の体に見立てて、長い島の北部を「国頭(くにがみ」といいます。一方、島の南部は「島尻(しまじり)」といいます。 沖縄本島の人口は南部に集中しています。太平洋戦争の時、日本軍は南部を守ろうとしたこともあり、住民を含めて多大な死者が出ました。 島の北部は米軍に長らく接収されていました。射撃場となる予定もあったのですが、住民の反対で中止されました。 結果的に開発が行われず、自然状態が保たれています。 沖縄本島北部のうっそうとした森がある地域を「山原(やんばる)」と呼んでいます。 沖縄本島南部は丘陵地が多いものの、北部は山地となっています。最高峰は与那覇岳の503mです。(地理院地図空中写真) 上図に示した国頭村・大宜味村・東村の合計面積は、340.23km2で、横浜市の77%程度です。3村の合計人口は9000人程度です。 (やんばる地域は明確な定義はなく、上図よりも広い範囲とされることもあります) ケッペンの気候区分では温暖湿潤気候(Cfa)となります。(クリマダイヤグラム奥) 参照している観測点が232mと標高の高い場所にあるので、1月は少し「涼しく」なります。 すべての月の雨量が60oを超えているところから「温帯雨林気候」なんて呼びたいところです。(そんな名称はありません) うっそうとした常緑広葉樹の森は、多様な生物種の棲家となっています。 やんばるの森の優先種は「スダジイ(ブナ科)」で、「オキナワウロジロカシ(ブナ科)」、「タブノキ(クスノキ科)」などもみられます。 本土の広葉樹と違っているのは、「ヒカゲヘゴ(ヘゴ科)」などの亜熱帯シダ植物が混じっていることです。 昆虫やカエル、ネズミなど固有種も多く、ヤンバルクイナは良く知られています。 沖縄本島には、毒蛇・ハブがいますが、ハブの駆除を目的として100年前にマングースが持ち込まれました。 マングースは昼行性で、ハブは夜行性であること、マングースはほとんどハブを食べないことが後からわかりました。 マングースは沖縄本島の南部から北部に生息域を広げ、ヤンバルクイナが絶滅の危機に追い込まれています。 、 |
徳之島
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徳之島の面積は247.77km2で、横浜市の57%程度です。島を構成する徳之島町、伊仙町、天城町をあわせた人口は2万1千5百人ほどです。 島の最高峰は、井之川岳で標高は645mです。石灰岩性の島で、カルスト地形が発達し鍾乳洞が多くなります。 奄美大島と比較すると平坦地が多く、島の28%が耕地として利用されています。(地理院地図空中写真) ケッペンの気候区分では、温暖湿潤気候(Cfa)になります。(クリマダイヤグラム伊仙) ただ、最寒月の気温は15.2℃で、冬の寒さはそれほどではありません。 島の中央部分の山地は、うっそうとした常緑広葉樹があり、 クワガタなどの昆虫類、カエル、トカゲ、ネズミなどの徳之島固有種が棲息しています。 |
奄美大島
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奄美大島の面積712.35km2で横浜市の1.6倍の広さがあります。東京23区や琵琶湖より広いです。 奄美市、龍郷町、大和村、宇検村、瀬戸内町の一部で構成され、島の人口は5万9千6百人程度です。 島の最高峰は湯湾岳で標高は694mです。 海岸線が入り組んで、入り江の多い海岸線となっています。湾奥の低地に集落が立地しています。(地理院地図空中写真) ケッペンの気候区分では、温暖湿潤気候(Cfa)に分類されます。(クリマダイヤグラム名瀬) 台風、梅雨前線、秋雨前線などにより、大雨に見舞われることがあります。 奄美大島を含む琉球島弧は、かつてはユーラシア大陸の一部でした。 200万年に大陸と切り離されてから、島の動植物は独自の進化を遂げました。 固有種が多いことから「東洋のガラパゴス」と形容されることがあります。 良く知られているのは「アマミノクロウサギ」です。(徳之島にもいます) 奄美大島の場合、人間の生活圏と自然の森が近接していることもあり、 野生動物の交通事故も相次いでいます。 アマミノクロウサギについては、2020年に66件確認されています(奄美大島50件、徳之島16件)。 外来種のマングースにより、アマミノクロウサギの個体数は減っていましたが、 1996年より捕獲を開始し、2000年より環境省の支援を受けて捕獲が本格化しました。 2018年4月に最後のマングースを捕獲して以降は、自動撮影カメラなどでも確認されていないので、 マングースの根絶に成功したようです。 2024年6月に「フィリマングース根絶宣言」が出されました。 奄美群島の植物・奄美野生生物保護センター 奄美群島の動物・奄美野生生物保護センター |