教員インタビュー 間島 英俊
間島 英俊 先生 インタビュー

神尾:本日はゼミの指導をしていただいている間島英俊先生に、私たち始め在校生、受験生に参考となるお話を伺いたいと思います。間島先生よろしくお願いします
(以下神尾=神,間島先生=間)
神:先生のご出身大学はどちらですか
間:私は,純粋ピュアの駒澤人でありまして,学部(1,2学年は北海道岩見沢市にあった駒澤大学北海度教養部)から大学院博士課程まで9年間、駒澤大学で過ごしてまいりました。
神:先生が心理学を学ぶきっかけは何ですか
間:私が駒澤大学に入学した1978年当初は心理学科が無く,社会学科社会学コースに所属しておりました。そして大学2年時に心理学コースができる際に私の恩師に勧められ,心理学コースを選択しました。そのことが心理学を学ぶきっかけとなりました。
神:なるほど。そういった貴重な先生との出会いもあったということですね?
間:そうですね。
神:大学時代で一番印象に残っている事はなんでしょうか?
間:かつて,駒澤大学でも学生運動が盛んに行われていた時期がありました。当時,自己批判や自己解放など自己に関する活動・意識の高まりがありまして,全学連運動に参加する人も多くいました。私もその渦中におりましたが,何ら解決がつかなく、小さなお寺に入って自分を見つめなおすために修行を致しました。それが私にとって一番印象に残っている出来事です。
神:では,そういった経験が今日の研究活動に繋がっているといえますかね?
間:まあそういった面もありますが,先ほども言いましたが心理学コースができた際,私の恩師から与えられたのが『パブロフ』と『フロイト』に関する書物でした。それらを貪るように読み込む中で,私の心理学の芽が徐々に育まれていったと言えるでしょう。
神:そうですか。それでは間島先生が大学院を修了された後について,どのような研究や活動をされてきたのか教えてください。
間:大学院では駒澤大学を代表する禅心理の大家秋重義治先生に師事し、禅の研究(注意集中)を行ってまいりました。その後,駒澤大学北海道教養部に戻りまして,私の後輩たちにあたる心理学コースの学生への指導(1,2学年教養部で学び、3学年から東京本校に移行)と,保母教育に従事致しました。そして保母教育をする中で,いわゆる児童心理学などといった発達に、そして大学教育の中で青年に関する発達研究に段々とシフトしてきました。
神:先生のご専門である発達心理学について説明していただけますか?
間:発達心理学という学問は,自分自身の目線で捉えられるものだと思います。例えば,今あなたがたが発達について考えた場合に,まず自分の過去について,「どのように発達してきたか」ということが概観できます。さらに,現在の自分も理解することができます。しかし,その先はなかなか難しいでしょう。例えば,あなたがたが「老人の心理」について理解することは,とても困難だと思います。私も同様に,青年期には青年心理を,年を重ねていくごとに成人・老人期,という風に成長に沿って自身の目線で発達を捉えてまいりました。すなわち発達心理学とは,自分の発達に伴ってそれに対応しながら見ていく学問であると,そう思います。
神:ありがとうございます。それでは,研究の楽しい点・厳しい点は何でしょうか?
間:研究の楽しい点は,人の発達をすぐに現象学的に捉える事ができることが挙げられます。また,これから自分自身が通過するであろう老人期の問題であったり私自身の死であったりといったことについて究めていくと,自分のライフサイクル(生まれてから死を迎えるまでの一生)のターミナルのようなモノが少しずつ現実として理解できてくる,そういったことが楽しみでもあります。
神:これまで心理学をやってきてよかったと思えることはありますか?
間:ライフサイクルとは,自分一人でその全てを過ごすものではありません。例えば,結婚することによりパートナーと一緒に生活したり,父や母,そして子どもたちと人生を共有したりする,心理学を学ぶことによってそういった世代間でのライフサイクルが,子どもであったり、親であったり、祖父母であったりとその役割が代わっていく様、それが非常に新鮮で,今もなお現実的に感じられます。
神:話は変わりますが,研究以外のプライベートでも釣りやスキーなど充実した趣味をお持ちですが,最近の関心事などはありますか?
間:ここ10年来単身赴任をしているせいか,最近はよく登山をやっております。また還暦を迎えてから,健康促進のためジムに通い,身体的精神的な面で切磋琢磨しています。
神:学生におすすめの本などありましたらご紹介お願いします。
間:私が心理学に進む一つの契機となりました,現象学派のJ.ケイガンとP.H.マッセンが著した『発達心理学概論Ⅰ・Ⅱ(誠信書房)』です。私の人生のバイブルと考えており,皆さんにもおススメします。
神:一見して難しそうですが,学生にも理解できる内容なのですか?
間:ええ,これは先ほど言いました自身の目線,そういったモノを理解する各発達段階を現象学的にとらえており,非常に理解しやすいと思いますし、入門書としてよいのではないでしょうか。

神:最後に心理学科を希望する受験生に向けて一言お願いします。
間:私は,心理学科として入学された学生に対して一番のベースとなります1年次の【心理学概論】という講義を担当しています。初めの講義においてその際必ず学生たちに言うことがあります。それは,「よい友人に出会うこと」「よい恩師に出会うこと」「社会の様々な物事に対し興味の目を向けること」ということです。
駒澤大学において、皆さん方にも良い出会いがあること,また様々な興味を成長させる場になることを切に希望いたします。
インタビュー後記
心理学は人生を通して一生学び続けることができる学問であり,先生自身も自己の成長とともに新たな気付きを学んでこられました。またお話を聞いてみると,先生の根底には,書物だけでは得られない「人との出会い」や「人生を楽しむこと・様々な知見を得ること」の大切さが深く根付いている事を強く感じました。人は一人で生きているのではなく,やはり様々な人やモノとの関わりの中から,多くを知ることができるのだと思います。こういった視点は,私たちも心理学を学ぶ,学ばないに関わらず見習わなければなりませんね。 これから駒澤大学受験を希望されている皆さんは、こちらのインタビューを参考になってください。
インタビュアー 神尾 充(4年) カメラマン 赤城辰則(4年) ディレクター 二杉洋香(4年)