ハゲタカジャーナル(粗悪学術誌)への注意喚起
1. 粗悪学術誌(ハゲタカジャーナル)とは
「粗悪学術誌(Predatory Journal)」とは、適切な査読や編集を行わず、論文掲載料(APC: Article Processing Charge)による収益のみを目的として刊行される悪質な学術誌を指します。 英語の "Predatory"(略奪的な・捕食性の)に由来し、日本では「ハゲタカジャーナル」という通称で知られています。
粗悪学術誌に見られる主な手口について、以下に典型的な特徴を挙げます。
- 査読の実態がない:「迅速な出版」を謳い、適切な査読プロセスを経ずに掲載を許可する
- 高額・不明瞭な請求:投稿時には伏せられていた高額な費用を、掲載決定後に請求する
- 組織の偽装:実在しない編集委員会や、著名な研究者の名前を無断で使用して信用させる
- 強引な勧誘:専門分野が異なる研究者に対しても、スパムメール等で無差別に投稿を勧誘する
- 模倣:実在する著名な学術誌の名称やロゴ、ウェブサイトのデザインを模倣して誤認させる
2. 投稿前に確認するべきこと
投稿先が信頼できるジャーナルかどうか、以下のツールや観点を用いて必ずご自身で確認してください。
信頼できるジャーナルを選ぶための国際的なキャンペーンサイトとして、Think. Check. Submit.(チェックリスト)があります。
チェックリストを活用し、一つでも不安な点がある場合は投稿を見合わせてください。
【公式版】Think. Check. Submit.
【日本語訳版】Think. Check. Submit.
確認項目の一例(Think. Check. Submit.より)
Think(考える)
- 信頼できるジャーナルに投稿しようとしていますか。また、そのジャーナルは自身の研究に適していますか。
Check(チェックする)
- 知名度:あなたや同僚は、そのジャーナルを知っていますか。また、以前に論文を読んだことがありますか。
- 連絡先:出版社名や連絡先(住所、メール、電話番号)がウェブサイトに明記されており、実際に連絡が取れますか。
- 査読プロセス:どのような査読(ピアレビュー)が行われるか、ウェブサイトで明確に説明されていますか。
- 編集委員会:編集委員の名前や所属が公開されていますか。その研究者たちは実在し、実際にそのジャーナルに関与していると確認できますか。
- 費用:請求される費用の金額、通貨、発生するタイミングが投稿前に明確に示されていますか。
- データベース:そのジャーナルは、あなたが利用している主要な文献データベースに索引付け(収録)されていますか。
- 学会・協会:出版社は「OASPA(オープンアクセス学術出版社協会)」や「COPE(出版倫理委員会)」などの信頼できる業界団体に加盟していますか。
Submit(投稿する)
- チェックリスト(※上記は一例)のほとんど、あるいは全てに「はい」と答えられる場合のみ、投稿をしてください。
3. リスクの判断とデータベース活用
学術誌が「粗悪かどうか」を白黒はっきりと二値的に判定することは年々難しくなっています。
一つの指標だけで判断せず、複数の「低リスク」条件を満たしているか確認することが重要です。
信頼性の目安となるデータベース・リスト 以下のリストに収載されているかどうかも、判断の一助となります。
※ただし、これらに含まれていれば、必ず安全とは限りません。
- DOAJ (Directory of Open Access Journals): 品質管理されたオープンアクセスジャーナルのディレクトリ
- OASPA (Open Access Scholarly Publishers Association): オープンアクセス学術出版社協会
- J-STAGE: 日本の科学技術情報を発信する電子ジャーナルプラットフォーム
- Web of Science(WoS):世界中の影響力の高い学術雑誌18,000誌以上を厳選して論文情報を採録しているデータベース