物流業界の「2024年問題」と労務改善の最前線

専門科目「経営労務論」の授業では、去る11月12日に船井総研ロジ株式会社(2026年1月より株式会社船井総研サプライチェーンコンサルティングに社名変更)から3名のゲスト講師をお招きしました。「物流コンサルティングファームが労務改善にいかに貢献しているのか」について、最前線のお話を伺いました。

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本講義の目的は、具体的にコンサルティングとはどのような業務内容、働き方なのか、さらにそこからあるべき労働時間管理とはどんなものなのか、この2点を深く学ぶことでした。
会場は300人近い聴講者の熱気に包まれ、学生たちはゲストの話に真剣に聞き入っていました。

まず最初に、山本 翼氏より会社説明、コンサルティングとは何か、特に2024年問題を抱える物流業界でなぜコンサルティングが期待されているのか、といった内容についてレクチャーを受けました。

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次に、玉川 豪史氏から実際の労務改善のケースワークの解説が、クイズを織り交ぜながら行われました。職場の労働環境をどう改善し、従業員の定着率を向上させることができるかについて、受講生とコミュニケーションを取りながら深く考えてもらうというスタイルで進みました。

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最後の質疑応答では、学生からの質問に直接答えていただきました。質問は70以上に及びましたが、司会の長澤 眸氏がそれらをまとめ、玉川氏に投げて回答をもらうという形式で進行しました。業界、法律、キャリアなど多方面の質問が出ましたが、それらの疑問にゲスト講師より即座かつ的確な回答をいただくことができました。

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以下、受講者の感想をいくつか紹介します。

・コンサルタントは、企業の課題解決に加え、経営労務の「理論と現場のギャップ」を埋め、経営者と労働者の「架け橋」となる極めて重要な役割を担っていると知った。

単に給与を上げるなどの短期的な対応ではなく、社員アンケートによる「課題の可視化」、賃金制度・人事評価制度の見直し、組織文化の改善など、長期的な視点での根本的な仕組みづくりが不可欠であると学んだ。

長時間労働、若手不足、未払い賃金訴訟などの課題が深刻化していること、特に「2024年問題」による労働時間制限・コスト増の影響と、それに対応した労務改善の重要性を具体的に理解できた。

運送業界では法改正が次々と行われており、企業の持続的成長には長時間労働の是正や未払い賃金訴訟を防ぐためのコンプライアンス強化が非常に重要である。

コンサルティングには、法務的視点だけでなく、現場の実態把握と現場理解、そして経営視点と現場視点の両面から課題を分析する視点が大切であると実感した。

運送業界に元々あった「長時間労働」「ブラック」というネガティブなイメージが、法令整備やコンサルタントの努力、企業内の改善への取り組みを知ることで変わりつつあることが分かった。

労働時間規制は企業にとって負担に見えるが、働く人が安心して続けられる環境を整える機会であり、「人を大切にする経営」こそが企業の成長につながるという考え方を学んだ。

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≪担当教員より≫
授業はただ単位を修得するだけが目的ではありません。毎日の講義において、予想しなかった「出会い」や「気付き」が得られることもあります。たゆまず学び続けましょう。きっと皆さんの将来に繋がると思います。

(H.K.)