鉄鋼業界に未来はあるのか?

2026年4月28日の「現代マネジメントⅠ」では、経営支援NPOクラブの杉田一志氏と西田雅典氏に御講演を頂きました。経営支援NPOクラブは、企業でキャリアを積まれた方を中小企業等に派遣し、指導する活動を行っています。

「企業とは?」杉田一志氏の御講演
最初に杉田氏より自己紹介がありました。杉田氏は立教大学卒、1982年に日刊現代に入社。退職後、立教大学大学院ビジネスデザイン研究科で修得、MBAホルダーです。株主中心主義からステークホルダー経営にシフトしたアメリカ資本主義の動向や、GDPに見るバブル崩壊以降の日本の経済的地位の低下、パーパス志向の日本的経営の姿など基本的なことが解説されました。社会人になる学生に「これからの会社は会社の理念や存在意義を社長や経営者が押し付けるものではなく、センスメイキング・社員に理解され共感される事が重要です」と説かれました。

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御講演中の西田氏(左)、杉田氏(右)

「鉄鋼業界・JFEの概観」西田雅典氏
次に西田氏が今回のテーマ「鉄鋼業界・JFEの概観」を講義しました。西田は横浜国大卒、1980年に川崎製鉄に入社。アメリカでMBAを取得し、アメリカ、マレーシア駐在など、財務の専門家として、LBOなどに関わりました。監査役として全体を見渡す職務も体験。御講演では、世界の鉄鋼業界の動向から中国やインドが生産量を急拡大したことが分かりました。鉄鋼生産には溶鉱炉、電炉の二タイプがあります。製造プロセス全体でのCO2削減量を各販売製品に割当てる(CO2トン/鋼トン)という鋼材マスバランスを鉄鋼メーカー全体で取り組んでいます。川崎製鉄と日本鋼管が合併したJFEホールディングスは日本の高炉メーカー三社の一つであり、鉄鋼事業、エンジニアリング事業、商社事業からなり、グループで6万人もいる巨大会社です。カーボンニュートラルを目指す超革新技術を開発中であり、海外事業はさらに拡大中であり、ここに未来の成長市場を抱えています。また国内洋上風力発電事業なども進展中です。

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380名が受講して満席に近い

学生からの質疑応答では、ロシアの鉄鋼生産、キャリアの決め方、CO2を排出する鉄鋼業界の未来についてなど、多くの質問が寄せられました。

以下、学生からの感想の一部を紹介します。
「まず、杉田先生の講義からは、企業が単なる利益追求だけでなく、社会的な存在意義であるパーパスを重視する時代に変化していることを学びました。自分自身の将来においても、理念に共感できる企業を選ぶ視点を持ちたいと強く感じました。また、西田先生からは鉄鋼業界の変革や、社会人としての心構えについて具体的なアドバイスを頂きました。特に、頑張らなくても諦めない心や健康の大切さは、専門的な知識以上に今の私にとって心に響くものでした。」
「杉田さんの話にあった、利益追求だけでなくパーパスを定義し、全てのステークホルダーの利益を考える経営への転換は、現代の企業に不可欠な視点だと感じた。カーボンニュートラルという難題に対し、水素製鉄や洋上風力発電といった新領域へ巨額の投資を行い、グループのシナジーを活かして社会的価値を創出しようとする姿に興味深く思った。将来を考える際も、西田さんの諦めない胆力を大切にし、自分の今の行動が将来の目的に繋がっているかを常に自問自答しながら、自己研鑽に励みたいと思う。」
「実際に社会で働いていていたり、様々なキャリアを経験された方のお話を直接聞くことができてよかったです。私はまだ就職について深く考えたことがなく、特に鉄鋼業などの製造業についてあまり知らなかったので新しい業種の話を聞けて良かったです。最初は「生産業は古い」という後ろ向きなイメージを持っていましたが、講義を受けて、時代に合わせて柔軟に変化している「新しい産業」なのだと気づきました。また、就職活動においても、視野を狭めないことがいかに重要かを学びました。様々な人に触れ、自分の知らなかった選択肢を得て考えていくことで自分のやりたいことを見つけられると思い、多様な価値観に触れていきたいと思いました。」

(M.M.)