それでも、日本人は「戦争」を選んだ(加藤陽子著)
Date:2026.05.01
書名 「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」
著者 加藤陽子
出版社 朝日出版社
出版年 2009年
請求番号 210.6/375
Kompass書誌情報
ウクライナでの戦争が長期化し、ガザでは深刻な人道危機が続き、さらに最近はイランをめぐる軍事衝突が国際社会を不安定にしています。私たちは、戦争が「過去の歴史」ではなく、いま現在も世界のどこかで人々の生活を脅かし続けている現実を目の当たりにしています。こうした状況の中で、私はあらためて「かつて日本はどのようにして戦争へと突入し、そして泥沼にはまっていったのか」という問いに向き合う必要性を強く感じるようになりました。
とくに私自身の専門が税法であることから、戦争と租税の関係にも関心を抱いてきました。戦争を遂行するには莫大な財源が必要であり、その財源を担うのは租税です。つまり、国家が戦争を続けるためには、国民が租税を負担し、その使途を容認するという構造が不可欠です。国民は納税者として、まさに戦争遂行の主体であったといえるでしょう。
そのような折に出会ったのが、加藤陽子さんの『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』という一冊です。本書は、歴史学者である著者が高校生との対話を通じて、日本が戦争へと向かった過程を丁寧に読み解いていくものです。軍事や外交の専門的な議論にとどまらず、当時の人々がどのような情報を受け取り、どのような判断をし、どのような「選択」をしていったのかを、読者が自分の頭で考えられるように構成されています。
過去の日本社会がどのような判断をし、どのような道を選んだのかを学ぶことは、決して歴史の追体験にとどまりません。むしろ、現在の国際情勢を理解し、私たち自身がどのように世界を捉え、どのような選択をしていくのかを考えるための重要な手がかりを与えてくれるように思います。
法学部教授 平川 英子