起業の「今」と「落とし穴」を知る! TOKYO創業ステーションTAMA石坂氏登壇

起業することが大事だと言われます。ところで起業するには何から始めたらいいのでしょうか。日本にはそんな悩みをサポートする機関が多くあります。東京都の政策連携団体の公益財団法人東京都中小企業振興公社もそのうちの一つです。

11月14日のベンチャー企業論Bでは、公益財団法人東京都中小企業振興公社の石坂悠人氏をお招きし、「TOKYO創業ステーションTAMAを中心とした東京都の起業支援施策について」というタイトルでお話しいただきました。

本講義では、東京都における起業の現状と、それに対する支援策の全体像について触れました。東京都の開業率は、諸外国と比較して依然として低水準にあります。その主な要因としては、自己資金の不足、ノウハウの不足、リスクへの不安の3点が挙げられています。こうした課題を解消し、起業を促進するため、東京都では同公社がTOKYO創業ステーションを運営しています。TOKYO創業ステーションは、丸の内とTAMAの2拠点体制で支援を展開しています。TOKYO創業ステーション TAMAでは、起業相談、事業計画のプランコンサルティング多様な専門家や起業家との交流の場の提供のほかに、テストマーケティング支援、ものづくり起業家支援、地域連携といった支援をおこなっています。

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登壇する石坂氏

講義では、これらのプログラムを活用し、実際に成長を達成した起業事例が紹介され、参加者に具体的な成功イメージを提供しました。そして、気になる「起業家が陥りやすい落とし穴」について解説がありました。主な落とし穴として、市場調査不足による売上低迷、融資や出資等の資金調達の失敗による資金繰り悪化の2点が挙げられました。市場調査不足への対応として、調査会社による市場調査委託、商業施設での展示を通じた市場調査機会を提供するテストマーケティングを実施。支援資金調達への対応として、外部からの資金調達を成功させるための事業計画書作成を支援するプランコンサルティングが紹介されました。同公社が展開する多岐にわたる起業支援プログラムが、これらのリスクを低減するために機能していることが示されました。

質疑応答の時間では、学生から実践的な質問が多く寄せられました。質問「クラウドファンディングによる資金調達の進め方」について、石坂氏は「展開する事業がクラウドファンディングに向いているか、また、どういったクラウドファンディング事業者がマッチしているかが重要。そういった個別具体的な相談にも応じている。」と回答。「学生時代にやっておいたほうがいいことはなんですか」という質問には「起業すると何度もハードルを乗り越えていく必要がある。自分が好きだと思うこと、本気で打ち込めることを追求すること。」と回答されました。

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石坂氏は「生き方を考える際、『起業』も自分がやりたいことを実現する手段の一つ。いろいろなことに関心を持って取り組んでみると視野、発想が豊かになります」とメッセージを送りました。

参加した学生からは、「起業というものが、難しく遠いものではなく、身近なものに感じました」「就職を目指す場合でも、新規事業の思考法や仮説検証の姿勢など、将来に応用できる学びが多く得られました」といった回答が寄せられました。起業支援策の話にとどまらず、充実した生き方とは何かという本質に迫る、大変貴重な講義となりました。

ありがとうございました。

(T.K.)