全日空商事の新規事業 ~全日空商事 武井 実 氏が登壇~
すでに大きなリソースをもっている大企業であっても新規事業を展開します。そのような企業はなぜ新規事業が必要なのでしょうか、どのようなマインドセットが求められるのでしょうか。6月12日のベンチャー企業論Aは、全日空商事株式会社 事業創造室室長の武井実氏を講師にお招きしました。
ANAグループは、13年連続で世界最高評価の「5スター」を獲得する日本を代表する航空グループです。その根底には「現在窮乏将来有望」という創業者美土路昌一のベンチャー精神が息づいています。新規事業開発は、既存事業を維持するだけでなく、将来の柱となる新しい事業を創出し、成長させていく極めて重要な役割を担っています。
コロナ禍の際に、ANAグループは前例のない大幅な減収減益となりました。そのような中、武井氏は航空機を活用した結婚式や無人決済店舗「ANA FESTA GO」の展開、さらにはキャラクター商品のヒットなど、既存資産と顧客の声を掛け合わせることで、強固な収益基盤を維持し続けました。現在、全日空商事は、航空関連ビジネスと非航空ビジネスの構成比は半々。外部環境の急変時に、リスクを分散させるために新規事業を展開する必要があるのです。
新規事業は、「答えのない問い」に対し、仮説を立てて解決策を導き出すプロセスです。1,000のアイディアのうち3つしか成功しない「センミツ」の言葉が示すように、失敗を恐れずに検証を繰り返すことが不可欠です。この仕事で重要なこととして、武井氏は、長年事業開発に携わってきた経験から、未知の可能性を想像し続けることの大切さを強調しました。
武井氏は、学生に期待することとして、高い情報感度と「なぜ」を数回繰り返すこと、日々勉強・自己研鑽を積むこと、想いを大事にすること、そして人とのつながりの重要性を挙げました。
学生からの「事業を複数展開することが足枷にはなることはないか」という質問には、「同じ事業をするほうが楽だから当然足枷になることはある。しかし足枷をはずせるような仕組みを作り育成することが企業の成長につながる」と回答しました。「新規事業の提案は直接上の人にあげるものなのか」という質問には「何度も壁打ちして持っていく。いろんな人にアイディアを話して持っていく。ただ、提案されても戻されることもある。その繰り返しの先に新事業が生まれる」と答えました。
学生からは「知識を得るだけでなく、『なぜそうなるのか』と疑問を持ちながら考える姿勢が大切」といった感想や「新規事業に多くの困難があることが分かった。だからこそ、自分を信じて諦めずに継続し続ける大切さを感じた」、「『現在窮乏将来有望』が心に響いた。今厳しいことから逃げてはいけないと思った」といった感想が寄せられました。
新規事業の意義のみならずキャリアを考えるうえでも貴重なお話をいただきました。
ありがとうございました。
(H.K.)
経営学部