企業におけるDX推進事例

7月3日の「経営情報システム」の講義にて、株式会社日立ビルシステム 昇降機事業本部の大塚健氏をお迎えし、「企業におけるDX推進事例」と題してご講演いただきました。

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講演の冒頭、大塚氏は「私はDX(デジタル・トランスフォーメーション)の専門家ではなく、DXとは無縁だったどこにでもいるサラリーマン」と自己紹介され、そんな自分がある日DXプロジェクトの担当となり、DXをどう捉え、どう実践しているかを紹介したいと語られました。講演全体を通じて、DXは一見難しそうに見えるものの決して特別なものではなく、理解すれば、誰もが自分の役割を持って関われるものであるということが、一貫したメッセージとして示されました。

講演ではまず、経済産業省の『DXレポート(2018)』によるDXの定義を出発点に、「DXとは、新たな価値実現をめざしてITで課題を解決し、仕組みにして育て続けること」というお話がありました。主役は「変革」であり、IT導入はあくまでその手段であること、そして1ショットではなく"サイクル"として回し続けることがポイントであると説明されました。その後、「戦略→BPR(Business Process Re-engineering:業務改革)→新システム導入→データ収集・分析→新たな改革ポイントの発見」という5つのステップからなる「DXサイクル」について紹介し、履修登録やアルバイトのシフト調整といった学生にとって身近な事例に当てはめて解説がなされました。受講生は「自分の身の回りの困りごとをDXで解決するとしたら」を考える個人ワークにも取り組みました。

また、DXを実現するために必要なのはITの専門知識や専門スキルではなく、システム開発の「考え方」を理解することが重要であるとお話しいただきました。具体的には、(1) やりたいことを正しく言語化する、(2) 人とシステムの役割分担を整理する、(3) それをルール化し仕組みに落とし込む、というコツを掴めば誰でもデジタル技術を活用して組織や事業を変革できるDX人財に近づけると説明がありました。さらに、DXで十分な成果を出せている企業はまだ少数であることも指摘されました。そのため、DX人財は貴重な存在であり、活躍のチャンスが広がっているとお話しいただきました。

後半では、大塚氏がご担当されている昇降機の営業・設計業務改革プロジェクトを例に、経営計画から戦略、課題整理、解決策立案、新システム導入に至るDXの実際の進め方をご紹介いただきました。さらに、業界や製品によってDXの進めやすさには違いがあること、製造業・建設業・保守サービス業の性格を併せ持つ昇降機業界は「モノ作りの全部乗せ業界」であり、全ライフサイクルのデータを持つ「データの宝庫」として変革の余地が大きく、非常にやりがいのある業界であることを語られました。

最後に、「DXは特別な人しかできない仕事ではなく、『このやり方おかしくない?』『もっとこうなれば、みんなが喜ぶのになぁ』と思える人が主役になれる仕事。このスキルを身につけるのに文系も理系も関係ない。」と受講生への熱いメッセージをいただきました。

講演後には受講生から、「DXサイクル」を実際はどのように実行していくのかなどの質問が寄せられ、大塚氏にはご自身の経験を交えながら一つひとつ丁寧にお答えいただきました。

■受講者の感想(抜粋)
・「DXはシステムが関わってくるので理系向きだから自分に関係ないと思っていましたが、文系・理系は関係なく、興味があればだれでもできるということを繰り返しおっしゃっていたので、新しい発見をすることができました」
・「一回システムを入れて終わりじゃなく、仕組み化してサイクルを回し続けるという本質の話がすごく印象に残った」
・「『はじめから完璧でなくて良い』という言葉が印象的でした。まずは考えてやってみて、その後データを分析し改善を重ねる。DXに限らず、やるべきことをまずは行動に移してみる心意気が大切だと気づけました」

実務の最前線で活躍される方から直接お話を伺える貴重な機会となり、受講生にとってDXを「自分ごと」として捉える大きなきっかけとなりました。お忙しい中ご講演くださった大塚様、ありがとうございました。

(T.K)