ポイントのしくみとその業界と仕事についての入門的な知識 ― 現代マネジメントⅠ
6月16日の「現代マネジメントⅠ」では、NTTファイナンス株式会社を退職されたばかりの山本知己氏をお招きし、「ポイントのしくみとその業界と仕事についての入門的な知識_V2」と題して、昨年に続き2度目のご講演をいただきました。
山本氏は、NTTファイナンスに勤務されながら立教大学で博士号を取得され、現在は昭和女子大学現代ビジネス研究所、株式会社JTBグループ本社イノベーション戦略推進チームに所属されています。
なぜポイント・プログラムが普及したのでしょうか。それは、企業の経営戦略のツールとして利用されているためです。具体的には、以下の4点が指摘されました。
- 売上高を維持しながら、割引機能を付与することが可能
- 顧客の継続利用を促すとともに、ロックイン効果が期待できる
- 自社のアセットを活用した販促効果
- キャッシュレスとの親和性
では、なぜキャッシュレスが普及したのでしょうか。以下の4点が指摘されました。
- 企業が自社外への資金流出の阻止と管理コストの削減を狙ったため
- キャッシュレスによる顧客利便性の向上
- 資金の自社グループ内での循環
- 管理コストの削減効果
続いて、技術の発達が生み出す決済手段のイノベーションと業界トレンドについて解説していただきました。
技術の発達によって新たな決済手段が生まれ、キャッシュレスのイノベーションが創出されました。決済手段には、クレジットカード、電子マネー、コード決済、モバイル、アプリなどがあり、これらを基盤としてポイント経済圏が構築されています。この中で、PayPay祭りによってコード決済の利用が急増したことが、グラフを用いて示されました。
また、これまでの経験から、就職活動に関するアドバイスもいただきました。
貴重なご講義をありがとうございました。
学生からのコメント
学生からは、以下のようなコメントがありました。
教科書や経済書などから学ぶ情報とは違い、どのようにして他社への資金の流出を防ぎ、自社の経済圏にお金を循環させるかという、企業のリアルな競争戦略を学べる、とても貴重な機会でした。特に、ドコモユーザーであっても楽天カードをメインに使うという、一見すると矛盾したデータから、各社が金融事業の強化を必死に行う理由がよく理解できました。また、キャッシュレス決済についても興味深かったです。
さらに、面接官としての経験に基づく、就職活動では保守的に構えることや、ITパスポートの重要性、狙い目の優良な関連会社といった、採用する側を経験された方ならではの実践的なアドバイスは、就活生にとってかなり有用なものであったと感じました。
今回の講義を通して、現在の日本におけるキャッシュレス決済は、通信キャリアによる経済圏の囲い込みが強いと感じました。例えば、楽天カードの圧倒的なシェアです。アンケート結果を見ても、多くの人が通信キャリアと紐付いた決済サービスを優先的に利用しており、我々がそれら特定の経済圏に深く依存している様子が分かりました。
私は今回の講義で、利便性やポイント還元という方法が消費者の選択を誘導していることに驚きました。そして、今の私たちは、知らず知らずのうちに通信と金融が融合した経済圏の中で行動しているということが分かり、私たちが消費者として賢く付き合うことの重要性を強く感じました。非常にためになる講義でした。
近年、携帯通信各社は、通信料金の値下げ競争から、ポイントや決済、金融を絡めた「経済圏」による顧客の囲い込みへと舵を切っている。企業側には、割引を通じて顧客を定着させる「ロックイン効果」や、購買データを収集して収益化できるメリットがある。しかし、複数のサービスが連携するほど、他社への乗り換えに伴う費用(スイッチングコスト)が高まり、消費者の自由な選択が妨げられる点が課題となる。従来の通信の枠組みを超えた囲い込みに対し、現在の法規制は限界を迎えている。今後は、データの持ち運びを自由にするなど、健全な競争を促す制度設計が求められる。
(M.M.)
経営学部