「タイパ」「上司ガチャ」「飲みニケーション」から考える経営労務論
専門科目「経営労務論」の授業では、去る9月18日に一宮運輸株式会社(全国約80拠点で多角的な物流サービスを展開する総合物流企業)と株式会社cannuから4名のゲスト講師をお招きし、「『タイパ』『上司ガチャ』『飲みニケーション』の経営労務論」をテーマとした特別講義を開催しました。
本講義の目的は、若手学生にとって身近な現代的キーワードを通じ、働く現場の実態や組織におけるコミュニケーション、そしてキャリア構築の本質について多角的に深く学ぶことでした。会場は熱気に包まれ、登壇者のリアルな本音に受講生は真剣に耳を傾けていました。
講義では、ファシリテーターを濱田崇裕氏(株式会社cannu代表取締役)が務め、一宮運輸株式会社取締役常務執行役員の犬山昌克氏、営業企画部副課長の榎氏、入社4年目の沢田氏と、役員から若手まで多様な立場の社員の皆様が登壇されました。
セクションは「①タイパ(時間対効果)」「②上司ガチャ(配属と人間関係)」「③飲みニケーション(会議室の外の関係)」の3つに分けて進行し、効率化と泥臭いプロセスの価値、人間関係への向き合い方、インフォーマルな繋がりの意味などについて、それぞれの視点から本音の議論が交わされました。 講義中は、リアルタイム匿名Q&Aツールを活用し、受講生からの率直な質問や疑問をその場で受け付けました。
「部下との仲の良さは人事考課に影響するのか」「上司が合わないときにすぐに転職するのは悪いことか」といった問いに対し、ゲスト講師陣より即座かつ丁寧な回答をいただく対話形式で進められました。 「効率や数値の外側にある時間や対話の中にこそ、成果や信頼関係の核となる価値がある」という現場ならではの視点は、学生たちに大きな気づきと将来へのヒントを与えてくれました。
以下、受講者の感想をいくつか紹介します。
・一般的な企業説明会では聞けない「社会人のリアルな本音や苦労」に触れたことで、働くことに対する漠然とした不安が解消され、将来のキャリアや働き方について主体的に考える良いきっかけとなった。
・効率(タイパ)のみを追求するのではなく、対面での対話や一見遠回りに思える泥臭いプロセスの中にこそ、熱意や臨場感が伝わり、長期的な信頼関係や成果につながる本質的な価値があると学んだ。
・「上司ガチャ」のように人間関係を選べない場合でも、相手の良い面を見つけたり関わり方を工夫したりする大切さを知るとともに、過度な無理をせず自分を護るための選択肢(環境を変えること)を持つ重要性も理解できた。
・「飲みニケーション」は直接的な出世や評価につながるわけではないものの、職場の人間関係を円滑にし、お互いの理解を深めるインフォーマルな場として一定の役割を果たしているというリアルな実態を掴むことができた。
・自分の所属する部署だけに固執せず、他部署や社外の人との広い繋がりを持つことで、自身の置かれた環境を客観的に見つめ直し、不安や孤立を防ぐ視野が身につくことを学んだ。
・役員から若手社員まで様々な世代・立場の登壇者が語る本音の議論を通じ、時代による価値観の違いや、互いの立場を尊重して歩み寄るコミュニケーションの大切さを実感した。
【担当教員から】
大学の学びは1つの答えを出すことが目的ではありません。多様なものの見方考え方を知り、勉強した理論と眼前の現実の間を往復することが肝要です。見聞を広めるべく、いろんな大人の話に耳を傾けるように努めましょう。
(H.K.)
経営学部