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~襷~ 「やってみたい」を一歩に。積み重ねが開く、未来の自分

【襷(たすき)】は、駒澤大学に通う皆さんが「どのような社会人生活を送りたいか」をイメージできる、キャリアセンター発の連載企画です。在学生が現在活躍する駒大OB・OGを訪問し、先輩たちのリアルな声をお届けします。

山本麻華先輩に、法学部3年 石川が取材しました!(2026年9月取材)

本とノートに向き合った時間と、さまざまなアルバイトで過ごした大学生活

古典や日本語に向き合い、思考を書き出す日々

大学時代は文学部国文学科に所属し、夏目漱石の『こころ』などの近代文学をはじめ、古典や日本語学などを幅広く学びました。中学・高校の頃からミステリー小説や話題の本を読むことが好きで、もっと専門的に文学を学びたいと思い、駒澤大学を選びました。

授業では、文章の奥で作者や登場人物が何を考えているのかを想像しながら、作品を読み解くことに楽しさを感じていました。

学生時代に大切にしていたのは、紙のノートに手書きで思考を整理することです。文献をまとめたり、自分の考えを視覚化したりした上で、最後にパソコンで文章にまとめていました。こうした習慣を通して、文章を正確に読み解き、考えを整理する力が身についたと思います。この「読み解き、まとめる力」は、IT業界に進んだ現在も、仕様書や設計書を理解する際に活かされています。

多様なアルバイト経験が育んだ対話力

入学した時期がコロナ禍と重なり、リモート授業が続く中で、思い描いていたキャンパスライフを送ることができませんでした。

そこで、「こういうときこそ自分から動かなければ」と考え、カフェや居酒屋、映画館、ケーキ屋、韓国料理店など、さまざまなアルバイトを経験しました。商業施設の特設ブースでクレジットカードの申込み案内をしたり、キャラクターショップで働いたりもしました。大学生が経験するようなアルバイトは、一通りほぼやり尽くしたのではないかと思います。

さまざまな人と接する中で、相手に応じた柔軟なコミュニケーションや丁寧な言葉遣い、状況に動じない落ち着きが身につきました。社会人になって初めて電話対応を担当した際には、上司や先輩から「初めてなのにとても落ち着いて対応できていた」と評価され、学生時代の経験が今の対話力につながっていることを実感しました。


「未知の世界へ挑戦したい」という直感

慣れ親しんだ環境から一歩外へ

就職活動を始めたのは、3年生の冬休みです。周囲と比べると少し遅いスタートだったため、焦りもありました。夏にもインターンシップに参加しましたが、冬からは合同企業説明会や大学の説明会に足を運び、自分のやりたいことを絞り込んでいきました。

さまざまな企業の話を聞く中で、「ITの知識が必要」「DX」といった言葉を頻繁に耳にしました。本とノートに囲まれた大学生活を送っていたため、時代の流れに取り残されているような焦りを覚えました。

一方で、大学を卒業して社会に出ることは、慣れ親しんだ環境を離れ、未知の世界に挑戦できる機会でもあると考えるようになりました。文系でITの知識がなかったものの、「知らない世界に飛び込んでみたい」という気持ちが不安を上回り、IT業界を志望するようになりました。

思考を書き出し、人と話すことで深めた軸

就職活動では、ノートとペンを使った「自問自答」を大切にしました。これまでどのような行動をしてきたのか、これから何をしたいのかを書き出し、視覚化しながら考えを整理しました。

また、一人で考え込まず、友人や家族にも相談しました。姉にエントリーシートを見てもらったり、家族に悩みを聞いてもらったりすることで、自分だけでは気づけなかった視点を得ることができました。

自分の考えを書き出すことと、人と話すこと。その両方を通して、自分の進みたい方向を見つけていきました。

発電事業を裏側から支える、基幹システムの保守・運用

人々の当たり前を守るシステム保守・運用

就職活動を経て入社した株式会社J-POWERビジネスサービスは、J-POWER(電源開発)グループの事業運営を様々なサービスで支えている会社です。就職活動中に大きな地震を経験した際、当たり前のように電力が供給され続けていることに気づき、電力という多くの人の生活を支える仕事に携わりたいと強く思いました。自分の就活軸であった「IT」と「インフラを支える仕事」が重なったことが、入社の決め手です。

現在はIT事業本部ソリューションサービス部第一室に所属し、グループ会社のお金やモノの流れを一元管理する基幹システム(ERPシステム)の保守・運用を担当しています。サーバーの状況や外部からのデータを確認し、システムが正常に動いている状態を維持することが主な仕事です。万が一システムが止まった場合には、1分1秒でも早く復旧させる必要があります。

入社2年目の現在は、上司や先輩に教えてもらいながらトラブルへの対応方法を学んでいます。グループ全体の業務を支える仕事に携われていることに、やりがいを感じています。

文系だからこそ活きる「読み解く力」

ITの世界は専門用語や技術的な知識が多く、電気事業に関わる法律や財務など、今でも学ぶことは少なくありません。
そんな中で力になっているのが、文学部で培った「文章を読み解く力」です。仕様書やマニュアルから必要な情報を読み取り、整理して理解する作業には、国文学科での学びが活かされています。

また、職場でのコミュニケーションも大切にしています。上司や先輩に質問するときは、まず「今お時間大丈夫ですか?」と声をかけ、事前に聞きたいポイントをノートに整理してから質問します。メモを取りながら、一つずつ知識を吸収しています。

目の前の業務に向き合い、地道に築く未来

与えられた役割を一つひとつ丁寧にこなす

5年先、10年先の長期的なビジョンを固めているわけではありません。入社したばかりの頃は、目の前の仕事をこなすことで精一杯でした。だからこそ、今でも「目の前にある仕事や頼まれたことに一つずつ向き合い、吸収していくこと」を大切にしています。

先輩や上司のような知識豊富なプロフェッショナルを目指していますが、一朝一夕でなれるものではありません。
今与えられた業務に地道に取り組むことが、3年先、5年先の自分につながる近道だと考えています。

パフォーマンスを生み出すメリハリ

仕事とプライベートのメリハリをつけることも意識しています。業務中は集中し、終業後や休日は自分の時間として切り替えることで、心身のバランスを保っています。

学生時代はインドア派でしたが、社会人になってからは休日に外へ出かけ、リフレッシュする時間も作るようになりました。メリハリのある生活が、日々の仕事に向き合う活力につながっています。

在校生へのメッセージ

「今」しかできない経験と楽しさを大切に

最近は就職活動の早期化が進み、大学1年生からインターンシップに参加する学生も増えています。個人的には「少しもったいないな」と感じます。大学生活は、自分のやりたいことにまとまった時間を使える貴重な時期です。先の不安にとらわれすぎず、まずは今この瞬間に「楽しい」「やってみたい」と思えることに、目一杯時間を使ってほしいです。

いろいろなことに興味を持って行動した経験は、あとから振り返ったときに決して無駄にはなりません。やりたいことをしっかりやりきってから将来について考えても、決して遅くはないはずです。

一歩を踏み出す意欲が可能性を拓く

「文系だからITは難しい」「知識がないから無理」と、自分の可能性を狭めてしまうのはもったいないことです。
実際の選考でも、入社前のスキルや知識だけではなく、「興味があるか」「やってみたいという気持ちがあるか」という熱量を見てもらえていると感じました。

知識やスキルは、入社してから学ぶこともできます。少しでも興味があるなら、諦めずに一歩踏み出してみてください。
大学生活での出会いや経験を楽しみながら、自分のペースで進んでいってほしいと思います。

おわりに~インタビュアーの感想~

今回の取材を通して強く感じたのは、キャリアは、その時々の「やってみたい」という気持ちや、目の前の経験を大切にすることから築かれていくのだということです。

山本さんの「5年後、10年後のことをすべて決めているわけではない。それよりも、目の前にある仕事に一つずつ向き合うことを大切にしている」という言葉が特に印象に残りました。

私自身も、周囲の動きや「早く将来を決めなければ」という焦りから、自分の進む道を急いで決めたくなることがあります。

だからこそ、山本さんのお話から受け取った「今しかできない経験を楽しむこと」「興味を持ったことに一歩踏み出してみること」というメッセージを、私自身も大切にしたいと思いました。

目の前の一歩は、すぐに未来の答えにつながるとは限りません。それでも、その一歩一歩が、振り返ったときに自分だけのキャリアをつくっているのだと思います。

この記事を読んだ皆さんにも、将来を決めることを急ぎすぎず、今だからこそできることに挑戦してほしいと思います。山本さんのお話が、「やってみたい」と思ったことに一歩踏み出すきっかけになれば嬉しいです。


[著]・[聞]法学部3年_石川智美
[写] キャリアセンター_木下恵

※記事の内容は取材時点のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。
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