駒澤大学

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平成31年度 入学式 学長式辞

Date:2019.04.12
駒澤大学 学長 長谷部 八朗
入学式会場

新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。皆さんが駒澤大学の一員となられたことを、教職員一同、心より歓迎いたします。そして、ご家族をはじめ関係者の皆さまにも、謹んで慶賀の意を表します。

桜前線が列島を縦断するなか、本日、平成31年度駒澤大学入学式を挙行する運びとなりました。また、本日4月8日は、各地の寺院で釈尊の誕生をお祝いする降誕会・花祭の行われる日でもあります。今からおよそ430年前に設立された、僧侶の修学機関である「学林」を起源とする駒澤大学の教職員一同にとりまして、この釈尊降誕を寿ぐ日に、新駒大生の誕生をお祝いできますことは、誠に同慶の至りであります。

「誕生」に因んでさらに申せば、周知のように先頃新たな元号が定まり、来月より、平成から令和へと時代が移ります。皆さんは、この令和時代の幕開けと共に誕生した大学生第一号でもあります。皆さんの駒澤大学での新生活は、このように、幾重もの「縁」の糸で結ばれながらスタートするのです。

そして、これから始まる正課授業やサークル活動など、さまざまな学びの機会を通して、専門的な知識や技能を身に付けるだけでなく、教養や良識を深め、人格を磨き、以て「総合的な人間力」を高めていかれるよう期待します。そうした社会人としての基礎力を鍛えつつ、いずれ巣立ちゆく将来社会の求める有為な人材へと成長されることを念願しています。
 
とはいえ、皆さんを待ち受ける社会は、激動の只中にあります。近年、社会が目まぐるしく変化して先を読むことの困難な時代を表現する言葉が目に付くようになりました。例えば、1980年代から2000年頃に生まれ、高い情報リテラシーを有する人びとを指す「ミレニアル世代」の時代、Volatility(変動)・Uncertainty(不確実)・Complexity(複雑)・Ambiguity(曖昧)の頭文字を繋ぎ合わせた造語「VUCA」の時代、AIやIoTなどによる新たな技術革新の潮流を指す「第4次産業革命」の時代等々が挙げられましょう。いずれも、ITによる革新を基底とする社会・経済構造の急激な変化、と言う時代認識に立つ言葉です。

しかし、こうしたAIやIoTが支える近未来社会が、人類に真の幸福をもたらし得るには、技術革新による高い生産力を社会に提供し、人の単純な反復労働を減らすことで、人間性のある生き方を目指す柔らかな思考や社会の仕組みが前提とされねばならない。そのための鍵を握るのは、シェア(共有)とケア(思いやり)の考え方だ。「第4次産業革命」論の提唱者である「世界経済フォーラム」会長クラウス・シュワブは、このように述べています。

要するに、IT革命が社会にもたらす恩恵は、人間教育、言い換えれば「総合的な人間力」を養成する教育体制が当の社会に具わってこそ可能になるというのです。

駒澤大学では伝統的に、そのような人間教育を、「智恵と慈悲」なる2つの仏教的観念を基底に据えて実践してきました。こうした本学の教育方針は、さきに述べた「第4次産業革命」論が前提とする人間性のある生き方を目指す上で、今後ますます注目されてくると思います。

なぜなら、ここで言うところの「智恵」とは、大学で学んだ知識を、複雑・多様化する現実社会に的確に応用し得る柔軟な心、しなやかな思考があってはじめて血肉化するものであり、「慈悲」とは、かかる「智恵」を他者や社会に施そうとする、正にシュワブの説くシェア(共有)とケア(思いやり)の心に他ならないからです。

最後になりますが、これから始まる皆さんのコマザワ・ライフが実りあるものとなり、本学での学びを通して、やがて飛び立つ社会で大いに活躍される人材へと成長・発展されることを祈念し、私の式辞といたします。

ご入学、誠におめでとうございます。

平成31年4月8日
駒澤大学 学長 長谷部 八朗