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ザ・フィフティーズ - 1950年代アメリカの光と影(デイヴィッド・ハルバースタム著)

眼横鼻直(がんのうびちょく・げんおうびちょく)
Date:2017.05.01

書名 『ザ・フィフティーズ -- 1950年代アメリカの光と影』(全3巻)
出版社 筑摩書房 ちくま文庫 2015年8月10日第1刷発行
著者 デイヴィッド・ハルバースタム
訳者 峯村 利哉
請求記号 253/209-1~253/209-3
Kompass 書誌情報

国家社会の秩序を構築するときの基本原理として、あなたは、「自由競争」あるいは「平等安心」のどちらを採用すべきだと思いますか。もちろん両者は、互いに必要不可欠な相互補完関係にあります。しかし、両者の中間中庸の立場を取るとしても、多少はどちらかに傾くかあるいは志向するものです。この理念選択ないし志向は、現実的・具体的生活においてどのように展開しているか見てみたい、考えたいと思いませんか。

現在の私たちの生活様式や考え方に強い影響を与え、またアメリカのスタンダードと言われた「1950年代アメリカ(ザ・フィフティーズ)」を知ることは、現代アメリカだけではなく、戦後世界や自分自身を認識する上において意味があると思います。

本書は、50年代アメリカに関して46項目を取り上げ紹介、分析、評価を行なっています。第二次世界大戦後の東西冷戦のスタートについては、「ルーズヴエルトからトルーマンへ」「原爆から水爆へ」「マッカーシズム」「朝鮮戦争」「ダグラス・マッカーサー」「水素爆弾」「中国参戦」があります。その後の政治問題としては、「リチャード・ニクソン」「フーヴァーのFBI」「CIAの暗躍」「国務長官ダレス」などがあります。

生活様式については、アメリカ型住宅の構造が画一的な理由や郊外に建設された事情が「一戸建てを大量生産する」で語られ、「ゼネラル・モーターズの勃興」で自動車社会が作られ高速道路網が建設された理由、そして都市のスラム化が生じる原因がわかります。自動車旅行のためのホテル建設については「ホリデイ・イン」が興味深いです。

テレビやラジオの影響とりわけ「やらせ番組」は昔も今も変わらないと考えさせられ、性革命については「キンゼー・レポート」「マリリン・モンローとプレイボーイ」「経口避妊薬」などで述べられています。若者文化の変容は「エルヴィスとディーン」、黒人差別に対する闘争としては「バス・ボイコット」「リトルロック報道」などがあります。

50年代アメリカは、平和と繁栄の象徴という一つの顔をもちつつ、実は、60年代アメリカで起きるベトナム戦争、ケネディ大統領の暗殺、黒人の真の解放を目指す公民権運動、さらには伝統文化を否定するカウンターカルチャーの時代を生み出すもう一つの顔をもっていたことがわかります。アメリカにおける自由競争(共和党)と平等安心(民主党)は、様々な局面で混交され、ダイナミックで多様な表情を見せていると思います。

法律、経済、経営、歴史、文化等を勉強する上にも役立つ本だと思い、ここに推薦いたします。


副学長 日笠 完治

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