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ハマータウンの野郎ども(ポール・ウィリス著)

眼横鼻直(がんのうびちょく・げんおうびちょく)
Date:2018.12.01

書名 ハマータウンの野郎ども
著者 ポール・ウィリス 
訳者 熊沢誠、山田潤
出版者 筑摩書房
出版年 1996年9月
請求記号 366.3/76
Kompass 書誌情報

本書は、イギリスの中等学校における労働者階級の生徒たち、とりわけ「不良」や「落ちこぼれ」とされているような生徒に焦点を当て、彼らがどのように学校卒業後の進路を選び取るのかということを明らかにしています。

「不良」生徒たちの中には、優れた洞察力を持つ少年も存在しており、彼らは学校が押し付ける「目標」が欺瞞に満ちていることを鋭く見抜いています。「不良」生徒たちによって形成される反学校文化は、学校や教師の権威、あるいは学校的な価値観を相対化することによって、時に優れた創造性を発揮します。その一方で、反学校文化は、従順な優等生たちを揶揄したり見下したりするような性質、女性を下に見るような男女差別的な傾向も併せ持っています。こうした文化の中で、彼らは、ホワイトカラーの仕事を「男らしさ」に欠ける「女々しいもの」ものとして忌避し、身体を使った労働を積極的に選び取っていく様子が描かれます。

このように、労働者階級出身の「不良」生徒たちは、身体を使った労働を中等学校卒業後の職業として自ら選択することで、労働者階級の再生産が行われていくことになります。著者のウィリスは、イギリス社会における階級の再生産という現実に対して厳しい批判の眼を向ける一方で、その文章からは、ノンエリートの青年たちへの暖かい眼差しが感じられます。

近年、日本の社会でも、高卒か大卒かという学歴による分断が進んでいることが、社会学の研究によって明らかにされてきています。高校生の約半数が就職か専門学校への進学という進路選択をする中で、あえて大学に進んで勉強することを選んだ皆さんに、ぜひ読んでほしいと思います。日本の社会は決して一枚岩ではありませんし、多様な人々によって成り立っています。階級的な分断や階級の再生産という問題に関して想像力を働かせ、考えを深めるきっかけにしてほしいと思います。

文学部社会学科 准教授 濱田 国佑

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