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アンドロメダ病原体―変異(クライトン・マイクル、ウィルソン・ダニエル・H.著;酒井 昭伸訳)

眼横鼻直(がんのうびちょく・げんおうびちょく)
Date:2020.09.01

書名 「アンドロメダ病原体―変異」〈上〉〈下〉
著者 クライトン・マイクル、ウィルソン・ダニエル・H.
訳者 酒井 昭伸
出版者 早川書房
出版年 2020年5月
請求番号 933/1108-1、933/1108-2
Kompass書誌情報
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「半世紀前に人類が協力し撲滅したはずの病原体が某国により極秘裏に保存されていた」、そして「その未知の病原体が再び人々の命を奪っていく」という本書のストーリーは、それがSF小説・パニック小説だと知っていても寒気を感じるものがある。たとえそれがアマゾン奥地を舞台としていても、そしてその病原体が中国の武漢ではなく、本来地球外からもたらされた微粒子であったとしてもである。

1969年にマイクル・クライトンによって世に出されたSFの傑作『アンドロメダ病原体』の続編である本書は、2019年11月にアメリカで出版された(そして日本では2020年5月に出版!)。まさに我々人類にとって未知のウイルス=新型コロナウイルス(COVID-19)が世界中に蔓延し始めた頃に相当するのだ。この予言的な書を残したクライトンは、2008年にすでにこの世を去っている(その後、遺族の同意のもと、ダニエル・H・ウィルソンがまとめる)。彼が本書を書いたのは決して偶然ではない。彼には常に先見の明があったのである。そのことは、彼の経歴を観れば一目瞭然である。

クライトンは、人気の海外ドラマ「ER緊急救命室」の原作者であり、映画にもなった『ジュラシックパーク』の原作者でもある。つまり時代の流れを読み取る能力に長けた人物であったのだ。そしてこの『アンドロメダ病原体―変異―』の登場だ。医学博士号を持つクライトンの面目躍如たる本書は、まさに今現在新型コロナウイルスの渦中に身を置く我々が手に取り読むべき書だ。病原体VS人類というだけではなく、その病原体の利用を企む半身不随の女性科学者(宇宙飛行士)VS幼少期から病原体との因縁を持つ主人公ジェイムズ・ストーン(ロボット工学)との大気圏を挟んだ対決は、壮絶でどちらも正論を唱えているかのように感じてしまう。終盤で明らかとなるストーンと彼の父親(血のつながりは無い)との物語は、本書の鍵となっている。単なるSFではなく親子の物語でもあるのだ。

文学部 教授 大城 道則

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