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書き替えられた国書 : 徳川・朝鮮外交の舞台裏(田代 和生著)

眼横鼻直(がんのうびちょく・げんおうびちょく)
Date:2019.08.01

書名 書き替えられた国書 : 徳川・朝鮮外交の舞台裏
著者 田代 和生 
出版者 中央公論社
出版年 1983年6月
請求番号 080/11-694
Kompass 書誌情報

本書は、江戸時代初期の日朝外交と対馬藩における国書改ざん事件を描いたものです。当時の日朝関係は、秀吉の朝鮮出兵により断絶状態に陥っていました。日朝関係において独占的な地位を占め、貿易で利をあげてきた、対馬の宗氏が関係の修復に着手しますが、朝鮮側は「講和」の条件の1つに、日本側から先に朝鮮に国書を送ることを求めました。当時の外交慣習としては、これは恭順の意を示すことになるため、日本側にとっては容易に受け入れられない条件でした。

そこで宗氏は、日朝双方の顔を立て、実利が得られるように、なんと幕府に無断で国書を偽造し朝鮮へ届けたのです。それ以後も宗氏は、つじつまが合うように日朝双方の国書の偽造と改ざんを行い、時には無断で将軍の使者を名乗り訪朝するなどして、日朝関係を進展させていきます。

ところが、実務を担っていた重臣と主君の関係が悪化し、重臣は自分のリスクを承知の上で、国書の改ざん等を幕府に告発します。そして1635年、江戸城本丸大広間にて、事件の主要関係者を、将軍、大名、旗本が取り囲み、審理が行われます。その沙汰は、ぜひ本書を読んでください。

歴史裏話といった趣のあるテーマを題材とした本書は、新書らしく巧みな筆致で一般の読者を引き込みますが、本書の真の価値はむしろ別の点にあります。それは、仮説の提示、現地調査、資料の収集と読解に裏付けられた、研究成果なのです。ある事を学術的に明らかにするために研究者が積み重ねていること、新書は学問の営みの余滴であることを頭の片隅に入れて読んでください。本書が出版されて31年後、著者は顕著な学術的功績のある学者である、日本学士院会員に選定されました。

グローバル・メディア・スタディーズ学部 講師 星野 真

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