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隷属なき道 : AIとの競争に勝つ ベーシックインカムと一日三時間労働(ルトガー・ブレグマン著 ; 野中香方子訳)

眼横鼻直(がんのうびちょく・げんおうびちょく)
Date:2020.04.01

書名 「隷属なき道 : AIとの競争に勝つ ベーシックインカムと一日三時間労働」
著者 ルトガー・ブレグマン 
訳者 野中 香方子
出版者 文藝春秋
出版年 2017年5月
請求番号 364/678
Kompass 書誌情報

時を経るごとに未来は明るさを増し、人々はより豊かに幸福に暮らせるようになってしかるべきでしょう。しかし実際のところ、多くの先進国では格差が拡大し、無駄な作業と消費が作り出されることで労働時間が増大し、競争が苛烈になることでストレスも増大しています。

そんな現代の経済が抱える根本的な病理をえぐり出し、的確な処方箋を提示しているのが、『隷属なき道』です。著者のブレグマンは、オランダの若い歴史研究家で、私も一度お会いしたことがありますが、とても親切でフレンドリーな人です。

本書には重要なこと以外何も書かれていません。私が、深くうなずいたり驚いたりした箇所に赤い線を引きながら読んでいったら、どのページも赤く彩られてしまいました。

今後最も大きな経済問題となるのは、AIの急速な進歩が、AIに負けない技能を持った労働者を豊かにし、そうでない労働者を貧しくして、格差拡大を助長するということです。

本書で提案されている解決策はベーシックインカムです。これは、全ての国民に最低限の生活費を保障する制度です。政府が国民全員に例えば月7万円といったお金を給付し続けます。

主要国で本格的に導入した国はまだありません。ただ、コロナウイルスの影響で収入を失う人がたくさん出てきている今、ベーシックインカムは大きな脚光を浴びています。

本書では、「ベーシックインカムを導入すると人々は怠惰になる」という俗説が、歴史的事例と詳細なデータに基づいて完膚無きままに叩きのめされています。貧しい者にお金を与えるとたいていの場合、より活動的で生産的になるというのです。

みなさんも本書を読んだうえで、ベーシックインカムがこれからの時代にふさわしい制度なのかどうか考えてみてください。

経済学部 准教授 井上 智洋

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