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隠された奴隷制(植村 邦彦著)

眼横鼻直(がんのうびちょく・げんおうびちょく)
Date:2020.05.01

書名 「隠された奴隷制」
著者 植村 邦彦
出版者 集英社 
出版年 2019年7月
請求番号 332/394
Kompass 書誌情報

奴隷制とは不思議な言葉である。我々は自分たちが自由な社会に生きていると思っている。憲法で人権を勉強するときも、我々は人が自由平等であることを学び、奴隷制というのはかなり昔に廃止されたという話を聞く。しかし今日においても、例えば労働の話をするとき、「奴隷的労働」や「人の隷属」ということをしばしば耳にする。就職ができない学生はかわいそうだが、就職できたとしても、そこに待っているのは「社畜」としての生活だという。いったい我々は自由なのか、それとも奴隷なのか?本書は、西洋の思想に現れた自由や奴隷制について検討した本である。本書は「私たちは今、資本主義社会に生きている。その日々の暮らしの中で『奴隷制』という言葉に出会う機会はまずない。しかし、実は『奴隷制』と資本主義には密接な関係があることを、あなたはまだ知らない」という言葉で始まる。本書ではロックをはじめとして、さまざまな思想家が登場する。本書の題名である、「隠された奴隷制」というのはマルクスの言葉からとられたようだ。マルクスが文章を書いていた19世紀の中頃、アメリカ合衆国では公然と奴隷制が認められていた。我々は近代の奴隷制としてしばしばアメリカの黒人奴隷制を考えるが、アメリカという国は、はたして奴隷制を認めるような野蛮な国なのだろうか、それとも多くの日本人のイメージの中にあるように、「自由と平等」の国なのだろうか。本書は、自由と平等ということに関心をもつ、多くの人に読んでもらいたい本である。

法学部 准教授 向田 正巳

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