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若さに贈る(松下 幸之助著)

眼横鼻直(がんのうびちょく・げんおうびちょく)
Date:2016.08.01

若さに贈る
松下 幸之助 著
2014年4月・PHP文庫
請求記号 159/597
Kompass 書誌情報

自己を見つめる

 学生時代は自由な時間を過ごせるとともに、自己を見つめて将来について考える機会の多い時期でもあります。20年以上前になりますが、私も大学4年生になって進路について思い悩んだことがありました。勉強を続けようといったんは大学院への進学を決めたのですが、そんな想いが大きく揺さぶられたのは、リクルートスーツに身を包んでキャンパスを歩く同級生の姿を見かけたときでした。精力的に就職活動をしている彼らの話を聞いているうちにだんだんと自分だけが取り残されたような気分になり、大学に残ることがつまらなく思えて気が滅入ってきてしまったのです。進学を考え直そうかと真剣に悩みましたが、ゼミの先生にご相談してようやく気持ちを取り戻すことができました。
そんなときに出会ったのが松下幸之助著『若さに贈る』(PHP文庫)という本です。著者は、少年時代に火鉢屋や自転車店で丁稚奉公をするなど苦労を重ねながら、22歳のときに独立して電球用ソケットの製造販売を始め、ついには現在のパナソニック・グループの基礎を築き上げた日本を代表する経営者の一人です。彼の経営に関する著作はとても有名で、多くの人々に読まれています。一方、先ほど紹介した本は、社会人に向けてではなく、みなさんのような若者に向けて書かれたものです。このなかで彼は、青春時代は若さというかけがえのない価値をもった日々である、私もできれば若い頃に戻りたいと自分の心情を打ち明けています。一方で、青春とは心の若さである、信念と希望にあふれ、勇気にみちて、日に新たな活動を続けるかぎり、青春は永遠にその人のものであるとも述べており、いくつものエピソードを通じて、熱意や努力の大切さを訴えています。
私はこの本を読んでとても励まされたことが思い出されます。振り返ってみれば、学生時代の悩みや素晴らしい書物との出会いが自分を知る貴重なきっかけになったと思います。

経済学部 教授 舘 健太郎

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