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詩偈作法(秦 慧玉著)

眼横鼻直(がんのうびちょく・げんおうびちょく)
Date:2017.08.01

書名 「詩偈作法」 
著者 秦 慧玉
出版者 鴻盟社
出版年 1952年
請求記号 184/1
Kompass 書誌情報

人間の営みを研究対象とする人文科学においては、書物を読むことを通して、「人間精神によって生み出されたもの、すなわち認識されたものを認識すること」(A.ベーク著、安酸敏眞訳『解釈学と批判―古典文献学の精髄―』知泉書館)が重要となるでしょう。そのためには、文法的な正確さや、その著者や書物の歴史性や、著者の個人的な言語の使用とともに、その書物の文章の様式に留意される必要があると思います。

禅籍、すなわち禅宗文献においては、駢文(べんぶん)や偈頌(げじゅ)が多用されています。駢文は四六文・四六駢儷文などとも呼ばれますが、対句によって編み上げられる文体で、中国の南北朝時代に完成を見ます。偈頌は、仏教経典に見えるガーターと呼ばれる韻文が偈陀(げだ)と音写され、頌と意訳されて、この両者を交えて偈頌と呼称されるにいたったものです。やがて禅僧が作る詩が偈頌と呼称されます。駢文も偈頌も韻文であって、それぞれ作成上の規則がさだめられ、独特の様式をもちます。よって禅籍を読むには、これら駢文と詩偈の様式を、ある程度わきまえておく必要があるでしょう。

永平寺七十六世秦慧玉禅師(1896-1985)は本学の前身曹洞宗大学林の卒業生であり、本学でも教鞭を執られた漢詩漢文の専門家でもありました。その秦禅師が、昭和27年に刊行されたのがここにご紹介する『詩偈作法』(当初は『新詩偈作法』と題されていたようです)です。この書物は、漢詩漢文の専門家として、また駢文や詩偈の実作者として、その様式と作り方を解説したものです。同種の書物は多数刊行されていますが、個人的には秦禅師のこの御著書が分かり易く感じました。駢文にせよ偈頌にせよ、多様であり現在では研究も進んでおりますから、この書ですべてが尽くされるわけではありませんが、この書を入門とし学習研究を進めて頂ければと思い、ここにご紹介致します。

仏教学部 教授 岩永正晴

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