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人口学への招待:少子・高齢化はどこまで解明されたか(河野 稠果著)

眼横鼻直(がんのうびちょく・げんおうびちょく)
Date:2017.10.01

書名「人口学への招待:少子・高齢化はどこまで解明されたか」
著者 河野 稠果
出版者 中央公論新社
出版年 2007年8月
請求記号 080/11-1910
Kompass 書誌情報

日本では現在、少子高齢化、人口減少が進行しており、大きな影響を社会経済に及ぼそうとしている。「人口学」はこうした状況においてとても重要な役割を担う。本書は、この「人口学」について、初学者にも分りやすく解説するとともに、専門的な要素も網羅されている名著である。

本書は、「人口学」の基礎を示す第1章からはじまり、第2章、第3章ではそれぞれ死亡、出生に焦点を絞り、解説を行っている。生と死は人間個人にとって最も根源的な現象であるが、これらをマクロの現象として捉え、人口変動要因として扱うところに人口学の面白さがあると考える。人間個体の生と死があるように、個々人の集合体である人口にも生と死が存在する。日本は2005年から人口減少時代に突入し、1人の女性が生涯産む子どもの数を表す合計特殊出生率が置換水準2.07を下回る状況が続けば、今後も人口減少が進んでいくと予測される。日本人口がゼロになる(すなわち日本人口が消滅する)のはいつになるのか?また日本人口は消滅を逃れることができるのか?こうしたことを知るためには、将来人口を推計する必要がある。将来人口の推計や、その基礎となる将来における出生率の推計についての議論は第8章、第9章で提示されている。

人口減少が続き人口が最終的にゼロになる、すなわち人口の死は、皮肉なことに人間自らの選択と人間を取り巻く社会経済環境によってもたらされる。合計特殊出生率が置換水準2.07を下回り続ける少子化は、個々人が子どもにより多くの投資をしたいと思ったり、出産よりも他のことに重きを置いたり、結婚しなくなったり、また社会が結婚・子育てに優しくなかったりといった、人間社会自らがもたらした帰結である。こうした少子化の原因についての議論は、第4章から第7章で提示されている。また、今日の少子化の大半は結婚をしない人が増えていることに原因があるのだが、結婚行動についても第6章で丸々1章分の解説が割かれている。

人口は社会経済を規定する最も根源的な要因である。人口がゼロの社会は社会足りえない。こうした、遠いようで身近な学問領域である「人口学」については、一度は勉強しておくことをお勧めする。その意味で、本書は必読本である。

経済学部 准教授 増田 幹人

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