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不確定性原理 : 運命への挑戦(都筑 卓司著)

眼横鼻直(がんのうびちょく・げんおうびちょく)
Date:2020.07.01

書名 「不確定性原理 : 運命への挑戦」
著者 都筑 卓司
出版者 講談社
出版年 1970年5月
請求番号 080/7-155
Kompass書誌情報

高校物理までで修得する物理学は、いわゆる古典物理学の範疇にあります。量子力学や相対性理論などの、その先にあるより進んだ物理学は、私の高校時代において好奇心の的でありました。講談社ブルーバックスシリーズの中には、様々な身近な話題、わかりやすい例えを交えながら、当時の偉大な物理学者たちが展開した思考をわかりやすく解説してくれている書籍がたくさんあります。

今回紹介させていただいた「不確定性原理」もそのうちの一つで、当時の私には難解であり、日常からは想像しがたい話のように感じていたと思います。

そんな私も駒澤大学を卒業し、診療放射線技師として長らく病院に勤務しておりました。我々診療放射線技師は、X線に代表される放射線を用いて、日常的に画像検査や放射線治療に従事しています。X線撮影において人体を透過してきたX線の強弱をもって像を結ぶその性質は、「波」のふるまいとして容易に受け入れることができます。一方、放射線治療においては、細胞核の中に存在するDNA鎖に対して、直接的あるいは間接的に、その局所に集中的にエネルギーを与えて切断、細胞死へと導きます。この性質は「粒」のふるまいとして受け取ることができます。日頃当たり前のように従事してきた診療業務の中にも、X線が時には「波」として、時には「粒」として、「量子」の性質をのぞかせていることに気づかされるのです。

当時はかなりの背伸びをしていたように思えることでも、今となってはその恩恵にあずかっているという、この本には何か「運命的」なものを感じるのです。この「運命」や「因果律」でさえも、不確定性原理の視点からはどう扱われるのか、議論の的となるのです。不確定性原理は物理学の一原理でありながら、哲学的な要素も含んでいたりするのです。

この原稿執筆のご依頼を受けるにあたり、高校生だった当時の私を思い浮かべながら、あらためて楽しく拝読させていただきました。よろしければ皆さんも是非いかがでしょうか。

医療健康科学部 講師 渡邉 雄一

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